
総務省 国際戦略局長 布施田英生氏
――総務省 国際戦略局では現在、「デジタル海外展開総合戦略2030」をもとに、日本のICT分野の国際競争力の強化を図るための様々な施策を推進しています。
布施田 人口減少下においてイノベーションを創出し、経済成長を実現するには、AIの活用をはじめとする社会DXの加速化が不可欠です。そこで総務省では、2025年5月に策定された「DX・イノベーション加速化プラン2030」に従って、インフラ整備と海外展開を進めていますが、このうち海外展開の戦略を具体化したのが、デジタル海外展開総合戦略2030です。
デジタル海外展開総合戦略2030では、2030年頃を見据え、国際競争力の強化と経済安全保障の確保に向け、戦略的自律性と戦略的不可欠性が求められる重点分野を設定し、支援していくこととしています。戦略的自律性とは、国として重要なものを自ら確保・提供できる能力を持つことです。また、戦略的不可欠性とは、日本のサービスや製品が世界から「不可欠なもの」と認められるようにすることです。
――具体的には8つの重点分野が設定されています。
布施田 まず、戦略的自律性の確保が必要な分野として、①海底ケーブル、②モバイルネットワーク(RAN)、③非地上系ネットワーク(NTN)、④サイバーセキュリティ、⑤大規模言語モデル(LLM)が位置づけられました。また、日本企業が強みを有し、グローバルな展開を通じて不可欠性の獲得に資する分野として設定したのが、⑥オール光ネットワーク(APN)と⑦データセンターです。さらに、将来の競争におけるゲームチェンジャーとなり得、不可欠性の獲得を目指す分野として、⑧光電融合、量子暗号通信等の先端技術を設定し、技術開発から海外展開までを推進しています。
――今年1月に総務大臣を議長とする「情報通信成長戦略官民協議会」が立ち上がり、そこでも日本の「勝ち筋」が議論されていく予定です。
布施田 情報通信成長戦略官民協議会の大元は、昨年11月に内閣に設置された「日本成長戦略本部」です。日本成長戦略本部は、リスクや社会課題に対し、先手を打った官民連携の戦略的投資を促進することで、世界共通の課題解決に資する製品やサービス、インフラを提供することを目的としています。
17の戦略分野が設定されましたが、官民協議会では、そのうちの1つである「情報通信」について議論し、今春をめどに官民投資ロードマップをとりまとめる予定です。
――官民協議会での検討は、DX・イノベーション加速化プラン2030やデジタル海外展開総合戦略2030などを発展させる形で進みそうですが、デジタル海外展開総合戦略2030では、どういった基本的考え方のもと、海外展開を推し進めているのですか。
布施田 ①グローバルファースト、②マーケットイン、③同志国との連携強化という3つの横断的考え方に基づき、研究開発からグローバルな市場獲得まで一貫した戦略的取組を推進しています。
まずグローバルファーストですが、これは技術開発にしろ、サービス展開にしろ、最初から世界展開を視野に入れようということです。また、マーケットインとは、例えばその技術が何年後にどのくらいの市場規模になるかを見据えたうえで、研究開発を進めようということです。
従来もこうした点は意識していたはずですが、結果として、市場が国内にとどまったり、市場に結び付いていない研究開発などがありました。そこで今一度、意識を改めて取り組んでいます。
――③の同志国との連携強化という方針には、昨今の経済安全保障をめぐる状況が反映されていますね。
布施田 地政学的な状況がこれだけ変化していますから、基本的な価値観を共有している同志国との連携は、サプライチェーン確保の観点からも常に考えておかなければなりません。例えば、海底ケーブルは、国と国をまたがって整備されるもので、同志国との連携が不可欠です。












