ソフトバンクと村田製作所、TSN over 5Gの接続実証に成功

ソフトバンクと村田製作所、CC-Link協会(CLPA)は2026年2月24日、5Gネットワーク上でTime-Sensitive Networking(TSN)を実現する「TSN over 5G」の接続実証に成功したと発表した。発表によると、通信事業者によるTSN over 5Gの実証成功は世界初だという。

TSNはIEEEで標準化された、イーサネット上でリアルタイム性と確定性を確保するための技術群。ジッターを抑制し、複数機器間で高精度な時刻同期を実現する。また、TSN over 5Gは3GPP Rel.16で標準化された、TSNの機能を5G上で実装する仕組み。これにより、有線ネットワークに近いリアルタイム制御を無線で実現することが期待されている。

今回の実証はラボ環境で実施。スタンドアローン構成のプライベート5G環境を構築し、TSN over 5Gで用いられるプロトコルであるgPTP(generalized Precision Time Protocol)に基づく時刻同期を評価した。端末側のDS-TT(Device-Side TSN Translator)とネットワーク側のNW-TT(Network-Side TSN Translator)間で時刻差を測定した結果、平均122ナノ秒の精度を確認したという。3GPPはTSN over 5Gにおける時刻同期誤差の要求水準を900ナノ秒以下と定義しており、今回の成果はそれを満たしたことになる。

TSN over 5Gにおける時刻同期評価の構成図。Grandmaster Clockから配信される時刻同期情報を基準に、ローカル局側のDS-TTおよびUEを経由して5G区間(gNB、UPF)を通り、NW-TTを介してマネージャー局へ伝達される流れを示している。下部には、送受信双方のクロック信号波形と、その差分を計測する様子を図示し、「時刻同期差分」を評価していることを表している。UE、gNB、UPF、DS-TT、NW-TTの各機能の位置関係も示されている。

時刻同期評価の構成図

さらに、CLPAが認証する産業用イーサネット規格「CC-Link IE TSN」のClass Bに準拠した産業用機器が、5Gネットワーク上で動作するかどうかも検証した。CC-Link IE TSN対応のリモートI/OユニットとPLCを5G経由で接続し、スイッチや表示灯を制御するエンド・ツー・エンドの検証を実施。1マイクロ秒以下の精度を維持しながら、6時間超の連続通信に成功したとしている。

TSN over 5G実証構成図および検証機器。上段は、TSN over 5Gによる時刻同期評価の構成図。Grandmaster Clockを基準に、産業用PLC(ローカル局)やリモートI/Oユニット、DS-TT、UEを経由し、5G区間(gNB、UPF)を通ってNW-TTおよび産業用PLC(マネージャー局)へ接続する構成を示している。CC-Link IE TSN Class Bに対応する通信経路が5G上で構築されていることを表している。 下段は、実証に用いた産業用機器の写真。ラック内にUEやDS-TT、リモートI/Oユニット、産業用PLC(ローカル局)を配置し、上部の表示灯(LED)を含む制御系を構成している。

TSN over 5G実証構成図および検証機器

今回の成果は、産業用ネットワークの無線化に向けた一歩と位置付けられ、AIがロボットや設備と連携して制御を行うフィジカルAIの実現に向けても、リアルタイム性と確定性を備えた通信基盤としての活用が見込まれる。

各社の役割は、ソフトバンクがgNBやUE、UPFなどTSN over 5G対応環境を提供し、村田製作所がDS-TTおよびNW-TTを担当、CLPAが産業用機器の提供と動作確認を行った。実証成果は、「MWC Barcelona 2026」における村田製作所の欧州子会社・Murata Electronics Europeのブースで展示予定。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。