6Gへの投資をサスティナブルに
「6GがAIを必要とすると同時にAIも6Gを必要としている。AIこそが6Gのキラーアプリと言えるかもしれない」――カンファレンスの冒頭、あいさつを行ったキーサイト・テクノロジー バイスプレジデント/ジェネラルマネージャーのGiampaolo Tardioli 氏は、AIとの融合が6Gを成功に導く鍵となると指摘した。これを実現するには6GとAIのエコシステムの構築、特にその基盤となる学術分野との連携が重要になるという。
その学術分野を代表して最初のセッションに登壇したのが東京大学大学院工学系研究科の中尾彰宏教授だ。
「通信事業者が直面している設備投資のサスティナビリティの問題を解決できる可能性がある」
中尾教授は自身が「モバイル通信とAIの融合」の研究に力を入れる理由をこう説明した。
「通信事業者は今後、非常に大きなコストを費やして6Gのインフラを整備していくことになる。他方で収益を上げにくくなっており、継続的な設備投資が難しくなることが懸念されている。6GとAIの融合(6G×AI)が、この問題の解決策になり得る」。
中尾教授は、「6G×AI」によって通信事業者のビジネスに3つの変革がもたらされると指摘した。
1つが「収益構造の革新」だ。AIと通信で設備を共用できるようにすることで、通信事業者のビジネス構造そのものを変革できる可能性があるという。
2つめが「運用と品質の最適化」だ。AIを活用することで、人手では不可能な複雑なRAN(無線アクセスネットワーク)の最適化が可能となり、ネットワークパフォーマンスの向上とコスト低減の両立が実現できる。
最後が「タイムパフォーマンスの向上」だ。作業の多くをAIにシフトすることで、業務の大幅な効率化が可能になる。
この中でも中尾教授が特に強い期待を寄せるのが、1つめの「収益構造の革新」であり、その中核となるのが「AI and RAN」だ。
AI and RANは、GPUをRAN設備に組み込み、AIと通信の両方の目的で活用する統合プラットフォームである。GPUを通信の高性能化・最適化に活用しながら、余剰リソースを様々なAIアプリケーションに回すことで通信事業者が新たな収益機会を得られるようにする。
現在、ソフトバンクやエヌビディアなど100社以上が参加する推進組織「AI-RANアライアンス」において、このAI-RANのユースケースの検討・開発が意欲的に進められている。
東京大学もAI-RANアライアンスに参加しており、中尾教授の研究室ではAI-RANを主要なテーマの1つとして、多くの研究プロジェクトに取り組んでいるという。
中尾教授は、大学がAI-RANアライアンスに参加する意義を「AIに対する学生の若い力に大きな期待がある。産学連携により通信事業者の収益構造を変えていけるのではないか」と語った。










