「産業界で自動化を実現するための重要な技術の1つとして、5Gが位置づけられてきている。プライベート5Gもその選択肢の1つだ」
海外市場における自営型5G(プライベート5G)の導入・活用について、エリクソン・ジャパン CTOの鹿島毅氏はそう語る。エリクソンでは近年、プライベート5Gのビジネスが年間100%超えで成長。既存顧客がサイト拡大のために再投資するケースも増えており、未だに実証が多い日本とは対照的に「商用事例が75%を占めている」状況だ。
これを牽引しているのが、フィジカルAIとの組み合わせだ。自動化は、AIとクラウドプラットフォーム、モバイル通信の組み合わせで実現される。サイバー空間で構築・運用するデジタルツインやAIと物理世界をつなぐには「信頼性の高いコネクティビティが不可欠。そこでプライベート5Gが重要な役割を果たしている」(同氏)。

エリクソン・ジャパン CTOの鹿島毅氏と(右)、エンタープライズ・ビジネス事業本部 アカウントマネージャーの中西司氏
無線通信網にも“ソブリン性”
この“信頼性”には、公衆5Gのように他者の通信の影響を受けることのない安定性に加えて、データ主権の意味合いも含まれる。組織・企業が自らネットワークを所有・管理することでデータ主権を確保する「ソブリン プライベート5G」の概念に基づく導入事例が目立ってきているという。
一例が、今年6月にビデオ監視をはじめとするスマートシティ化を目的にプライベート5Gを導入したイストル市だ。南フランス プロヴァンス地方に位置する人口約4万人の小都市である。
AIを活用したスマートシティサービスの拡充と展開を目指すイストル市は、公衆5Gを使う選択肢も当然あったが、AIとともにネットワークも自らのコントロール下に置くためにプライベート5Gを選択した。データ主権の観点に加えて、「自分たちが必要だと判断した場所に、キャリアの対応を待たずに自らネットワークを構築できる利点もある」(鹿島氏)。
光ファイバー網と比べて導入コストの面でもメリットがあった。固定または可搬式の監視カメラと映像解析AIの導入にあたって、「新たに光ファイバーを敷設する場合のカメラ設置費用は1台あたり約3万ユーロだが、プライベート5Gでの無線化によって5000ユーロに低減できた。10台のカメラ設置で、プライベート5Gの導入費用が賄えている」と、エンタープライズ・ビジネス事業本部 アカウントマネージャーの中西司氏は話す。










