<連載>フィジカルAI、産業DXのためのローカル5Gローカル5Gで鉄道事業DX シェアモデルで現場にAIを

人手不足が深刻化するインフラ保守点検業務。経済の要である鉄道も例外ではない。これをローカル5GとAIで解決しようとする取り組みが進んでいる。コストの壁を超えるカギが「シェアリング」だ。

住友商事が全国の鉄道事業者とコンソーシアムを構成して、ローカル5GとAIを活用した鉄道事業者向けソリューションの開発を進めている。同社 メディア・デジタル グループ 5G SBU(Strategic Business Unit)長の梅田礼三氏がキーワードに挙げるのが「シェアリング」だ。「都市鉄道だけでなく、地方の鉄道事業者でも活用できる汎用的なシステムにしたい。通信インフラであるローカル5Gも、その上で使うAIもシェアリングモデルにすることで、それを実現する」

住友商事 メディア・デジタルグループ 5G SBU(Strategic Business Unit)長の梅田礼三氏(左)と、SBUソリューション事業開発チーム長の山田晃敬氏

住友商事 メディア・デジタルグループ 5G SBU(Strategic Business Unit)長の梅田礼三氏(左)と、
SBUソリューション事業開発チーム長の山田晃敬氏

33の鉄道事業者で“割り勘”

現在は試験運用中で、2026年からの商用化を目指しているこのソリューションは、列車に搭載したカメラで撮影した映像をローカル5GまたはWi-Fiでクラウド等に伝送し、AIが解析することによって沿線の異常を検知するというものだ。住友商事は通信インフラの構築・運用からAIアプリケーションまで含めて、このソリューションをサービスとして鉄道事業者へ提供する計画だ。

基地局などの通信設備はユーザーである鉄道事業者ごとに構築・設置する必要があるが、5Gコア機能やAIアプリケーション、それらを動かすクラウド基盤と運用体制を複数事業者で共用。さらにAI開発のリソースや学習データも共有することで「割り勘効果によって開発コストが抑えられる」と、SBUソリューション事業開発チーム長の山田晃敬氏は話す。ローカル5GもAIもコストが導入・運用の足かせとなるケースは多い。開発段階からリソースをシェアすることで、「都市鉄道に比べて資金が潤沢でない地方の事業者にも導入しやすい価格帯を目指している」。

第1弾のアプリケーションとして東急電鉄と開発し、実証実験を重ねてきたのが「列車前方カメラによる沿線異常検知ソリューション」(図表1)だ。実証実験には全国から33もの鉄道事業者が参画。「従来の鉄道システムは、大手事業者が開発したソリューションを地方事業者が使うという流れだったが、この取り組みでは、開発の初期段階から地方事業者も参加し、課題や要件、ニーズ、予算に合わせた開発を進めている。みんなで作り、出来上がったらみんなでランニングする仕組みを作りたい」(山田氏)

図表1 前方モニタリングソリューション(巡視業務DX)

図表1 前方モニタリングソリューション(巡視業務DX)

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