ネットワークのオール光化の波は、キャリア網やデータセンターだけでなく、エンタープライズ市場にも押し寄せている。これまでメタルケーブルとL2/L3スイッチで構築していたLANを、FTTH等で使われるPON(Passive Optical Network)システムで置き換える「光LAN」だ。
POL(Passive Optical LAN)と呼ばれるこの新タイプのLANは、ホテルやオフィスビルなどの大規模施設を中心に普及し始めている。ファーウェイ・ジャパン ICTマーケティング&ソリューションセールス本部 光技術ソリューションセールス部 ソリューションセールスマネージャーの牧沢宗弦氏によれば、「広い帯域幅を提供できるPONを家庭向けだけで終わらせず、企業や施設にも活用することが目的だ」。
同社ではホテルを中心にPOLを展開し、国内でも導入実績が出始めた。2025年2月にNTTドコモビジネスと協業してPOLの国内提供を始めたノキアも、海外での導入実績を持つ。
大規模施設も「中継なし」
特に大規模施設でPOLの導入が進むのには明確な理由がある。消費電力/コストの削減、省スペース化、耐用年数の長期化といった多くのメリットをもたらすと同時に、デジタル化や将来のAI普及に備えた高速化・高機能化が容易になるからだ。
POLの仕組みは前述の通り、PONシステムのそれと同じだ。
LANケーブルの伝送距離は100m程度であるため、一般的なLANは、コアスイッチと末端のエッジスイッチをフロアスイッチで中継する3階層になる。POLの場合、コアスイッチに相当するOLT(光回線終端装置)から末端のONTまで、数十km伝送可能な光ファイバーケーブルで接続。途中は光スプリッターで分岐する(図表1)。
図表1 従来型LANとPOLの比較

光スプリッターは電源が不要なため、中継機器とその設置スペース、電源が排除できる。この効果は大きい。
大型施設の場合、従来型LANでは100mごとに中継機器を運用するラックと電源、冷却設備を備えたIT室が必要になる。「これをそこら中に作るのは無駄」。ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 ネットワークインフラストラクチャー事業部エンタープライズ営業本部長の岡崎真大氏は10月8日に同社が開催したプライベートイベント「Amplify Japan 2025」でそう話した。
無中継で約20kmまで伸ばせる光LANなら、これらは一切不要になる。設置工事やケーブル配線工事の負荷とコストも考慮すれば、その効果は絶大だ。ノキアとドコモビジネスが「スマートビルからPOL展開を始めたのは、これが理由」だという。








