データセンター(DC)の構築・運用法はこれまで、北米のハイパースケーラーで考案・確立された方式を踏襲する形で世界に拡散してきた。しかし、ここに来て大きな変化が起きている。
「北米では現在も巨大DCの建設が続いており、電力供給が豊富で税制優遇のある地域に集中している。対照的に、日本は電力供給の制約からDCの分散化が進む。土地と電力を安価に確保できる場所にコアDCとサテライトDCを設置し、それらを連携させて仮想的に1つの大きなDCとして活用する流れが生まれている」
北米と日本のDC市場の違いをこう指摘するのは、1FINITYネットワーク カスタマーサクセス本部 ストラテジックセールスエンジニアリング統括部 統括部長の杉山晃氏だ。

1FINITY ネットワークカスタマーサクセス本部 ストラテジックセールスエンジニアリング統括部 統括部長 杉山晃氏
地方のAI-DCと都市DCを接続
米国ではバージニア州やテキサス州が巨大DCの集積地として知られている。ハイパースケーラーに加え、AI特化型インフラを構築・運用するネオクラウドも台頭し、全米各地で巨大DCの建設ラッシュが続く。これに伴い、それらのDCと大都市を結ぶ専用線の需要も増大している。
日本でもDC需要は急拡大しているが、電力確保の制約から分散化は避けられない状況にある。そのため、地方の電源地域にAIデータセンター(AI-DC)を構築し、周辺のDCや都市部のDCを連携させる形態が新たなトレンドとなりつつある。
DCの全国分散を積極的に進める代表例がソフトバンクだ。2026年度に開業予定の北海道苫小牧AI-DCは、北海道の再エネを利用する地産地消型DCとして国内最大規模の敷地面積70万㎡、受電容量300MW超を目指す。同じく2026年中に稼働予定の大阪府堺市のDCも、シャープ堺工場の電源設備を譲り受けることで、当初150MWから将来的に250MW規模への拡大が計画されている。
今日、大規模AI-DCの構築は、電源が確保できるこうした場所に集約される傾向にある。ソフトバンクは光電変換を行わない「All optical network(AOL)」を全国展開しており、これを用いてコアDCと全国のDCを連携させ、用途ごとに使い分ける構想を進めている。
オプテージの取り組みも分散化の好例だ。関西電力グループの通信事業者である同社は、美浜発電所のある福井県美浜町にAI-DCを開設し、2026年度中にサービスを開始する計画である。これと、2026年に開業予定の大阪市・曽根崎DCを自社の光ファイバー網で連携させ、電力消費量の多い生成AI学習は美浜DC、低遅延が求められるAI推論は大阪市内のDCで、という使い分けを狙う。











