デルCTO「AI Factoryで日本企業の変革加速」 ソフトバンク、東芝がAI活用事例

デル・テクノロジーズがフォーラムを開催し、基調講演では同社とソフトバンク、東芝の3社がAI活用の実践事例を発表した。デルは「5年前のインフラでは対応不可」と警鐘を鳴らし、ソフトバンクは社員のAI利用率100%を実現し「10億エージェント」構想を推進、東芝は既存予算内で93%の部門がAI導入を果たした。

デル・テクノロジーズは2025年10月3日、プライベートイベント「デル・テクノロジーズフォーラム2025」を開催し、「未来を共創する、 ビジネスの最前線へ」をテーマに、AI時代の企業変革戦略について発表した。基調講演では、デル・テクノロジーズ自身の事例に加え、ソフトバンクと東芝のAI推進に関する事例も紹介された。

日本企業61%が導入初期段階、「5年前のインフラでは対応不可」と警鐘

デル・テクノロジーズ グローバルチーフ テクノロジーオフィサー&チーフAIオフィサー ジョン・ローズ氏

デル・テクノロジーズ グローバルCTOのジョン・ローズ氏は、日本企業の61%がAI導入の初期から中期段階にとどまっている現状を指摘した。「ほとんどのITインフラ戦略は少なくとも5年以上前に決定された。その頃、生成AIは存在しなかった。当時のクラウド戦略では今のAI時代を支えられない」と述べ、AI専用インフラへの抜本的見直しの必要性を強調した。

また、デル・テクノロジーズが約1年半前に提唱した「Dell AI Factory」は現在、世界3000社超に採用されていることを説明した。Dell AI Factoryはデータ問題の解決やユースケースの明確化などを体系化したフレームワークで、企業のAI導入を大幅に簡素化できるという。デル・テクノロジーズはストレージをはじめとする、ほぼすべてのセグメントで市場リーダーの地位にあると述べた。

ソフトバンク、「10億AIエージェント」構想で社員利用率100%を達成

ソフトバンク IT統括 プロダクト技術担当 専務執行役員 兼 CIO 牧園啓市氏

ソフトバンク CIOの牧園啓市氏は、グループ全体で10億のAIエージェント作成を目標としている「10億AIエージェント」構想の進捗を報告した。社内の生成AI使用率が2025年4月時点の50.7%から8月には100%に到達し、自社内のオンラインショップ、調達、運用監視、ネットワーク品質向上など、全領域でAIエージェント構築を推進しているという。

牧園氏はガバナンスについて「守りばかりだと活用が進まず、攻めばかりだと問題が大きくなる。バランスが重要」と述べ、全グループでポリシーとガイドラインを策定し、日米欧の規制動向を監視しながら継続的に改善を図っていることを説明した。

また、日本語性能が高く、日本の文化や商慣習に詳しい国産LLM「Sarashina」を段階的に商用化していくと紹介した。さらなる性能向上のため現在の460Bから1000Bパラメータへと拡大する予定だという。「教師がしっかりしていないと専門家は作りにくい。基盤モデルを構築し、金融、法律、医療などの専門AIを育成する」と牧園氏は述べ、深い業界知識をもちながら、さまざまな専門タスクを実行できるモデルにしていく戦略であることを説明した。

ソフトバンク 日本語国産LLM「Sarashina」

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