NTT東日本 山村社長「“第3”の収益源開拓で増収狙う」

2012年度第1四半期も減収傾向が続いたNTT東日本。これに歯止めをかけるべく、光の利活用提案を促進する。同時に、電話と光、SIに次ぐ「第3の収益源」の開拓に取り組む。新たな収益源となり得る事業とは何か。6月に就任した山村雅之社長に詳細を聞いた。

――通信市場とNTT東日本を取り巻く現状をどう見ていますか。

山村 通信市場は数年前までとは大きく様変わりし、従来型の競争から急激に変わってきています。

単に固定系同士の競争に移動通信が入ってきているというだけでなく、SkypeやLINE等の色々なアプリが出てきて、お客様にとって音声通信の手段は本当に多様化してきています。このため音声トラフィックはずっとある一定量を維持できるという状況ではなくなってきています。

第1四半期の実績でも、音声の減収をIP系の増収で補えず減収減益傾向となり、厳しい経営環境が続いています。

――第1四半期は、「フレッツ光」の純増も16万4000回線で、年間目標に対する進捗率も20.5%と、純増数の鈍化傾向が続いています。

山村 光の純増については、市況に左右される部分が大きいと思います。特に今年は、KDDIさんの大幅なエリア拡大などの影響もあって苦戦していますが、彼らの一定のエリアのカバーが終わればいつまでもこの調子が続くことはないと思っています。

そういった特殊要因を除けば、光サービスは数年前までのような急激な成長は期待できないでしょうが、今後も一定の成長は続けられると考えています。

NTT東日本 山村社長

――足元を見ると、KDDIはエリア拡大だけでなく、固定と携帯の割引サービスである「auスマートバリュー」も好調で、対策が必要な状況になっていると思います。

山村 実は最近、料金だけとか、何か1つの要因で勝負が決まることはなさそうだということが分かってきました。過去に割高な料金が原因で当社が大きくシェアを下げたサービスがあるかというと、それはありませんでした。確かに、少しでも安価な方に流れるお客様もいらっしゃいますが、やはり総合的なことがシェアを左右すると思っています。ですから、無理をして料金競争をする気はありません。

しかし、他の取り組みは必要です。例えば、都市部のワンルーム賃貸マンションは若者が中心です。彼らの光サービスに対する不満を調査すると、料金面もありますが、「入居日から使えない」こともありました。光の工事は1週間ほどかかります。それが理由で無線ブロードバンドサービスを選択されるお客様をフレッツ光に誘導する新しい施策はないか、といった対策を個々の案件としては当然考えていかなければなりません。

月刊テレコミュニケーション2012年9月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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山村雅之(やまむら・まさゆき)氏

1978年3月東京工業大学大学院理工学研究科電気工学専攻修士課程修了。4月日本電信電話公社入社。2005年5月NTT中期経営戦略推進室担当部長。6月NTT東日本取締役東京支店長、ビジネスユーザ事業推進本部副本部長兼務、08年6月常務取締役東京支店長、09年6月常務取締役ネットワーク事業推進本部長、ネットワーク事業推進本部設備部長兼務、ネットワーク事業推進本部研究開発センタ所長兼務、ネットワーク事業推進本部企画部長兼務。2012年6月代表取締役社長に就任、現在に至る。1953年3月生まれ、東京都出身

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