(左から)FCNT 統合マーケティング戦略本部 本部長の外谷一磨氏、代表取締役社長の桑山泰明氏、同本部 マーケティング統括部 副統括部長の正能由紀氏
FCNTは2025年6月17日、携帯電話の新製品2機種の発表会を開催した。
1つは、スマートフォンシリーズ「arrows」の最上位機種「arrows Alpha」だ。「物価高騰によりハイエンドモデルの価格は上昇している。ユーザー体験を広げるハイエンドモデルに手が届きにくくなると、新たなデジタルデバイドが顕在化する可能性がある」と同社 統合マーケティング戦略本部本部長の外谷一磨氏は、「手が届くハイエンド」として同機を企画したと説明した。
「arrows Alpha」の実機。本体色はホワイト・ブラックの2つ
arrows Alphaは、CPUはMediaTek製の「Dimensity 8350 Extreme」 を搭載し、RAM12GB、ROM512GB。扱いやすさを考慮し本体の幅は72mmとしつつ、最大144Hz対応の約6.4インチpOLED Super HDディスプレイを備えている。
“ハイエンド”な性能として、外谷氏が強調したのがAI機能だ。クラウドとオンデバイスのハイブリッドで動作する「arrows AI」を搭載。8月の発売時点ではAIを用いたカメラの高画質化や自動補正機能のほか、生成AIを活用した「やりたいことを伝えるだけで最適な機能を提案」(外谷氏)する機能を利用可能だ。
例えば、「ロック画面の通知を消したい」や「海外で通信したい」などとAIに自然言語で尋ねると、該当する設定項目を案内する。
また、メッセンジャーアプリの通知を要約する機能を、今年の秋から冬にかけてソフトウェア更新で利用可能にする。日本の利用シーンに合わせ、LINEやMicrosoft Teams、Xやインスタグラムのダイレクトメッセージなどに対応するほか、複数アプリを横断した要約機能も提供する。
生成AIはarrows AIに加え、Google Geminiの機能も利用可能なほか、今後Perplexityにも対応する予定という。
「arrows Alpha」スペック・機能サマリー
“ハイエンド”端末を税込8万円台で提供 発売は8月下旬以降
arrows AlphaはNTTドコモモデルとSIMフリーモデルの2つを提供する。いずれも8月下旬以降の発売を予定し、SIMフリーモデルの市場想定価格は税込8万円台を予定している。
8万円台という価格を実現できた背景について、同社 代表取締役社長の桑山泰明氏は、レノボグループの傘下に入ったことで「グローバルリソースを利用しながら日本ユーザーに使いやすいものを作るということの現れ」と説明した。グローバルな調達網を活かしてコストを下げ、AI技術もレノボの技術基盤・資産を活用しているという。
低価格を実現するために搭載を見送った機能もある。一例がWi-Fiで、同機はWi-Fi 7に非対応だ。「(現在の)利用状況とコストの観点でWi-Fi 6Eに留めた」(外谷氏)。
外谷氏は、「arrows Alphaを手に取れるハイエンドとして、これから主力商品に育てていきたい」と意気込みを示した。