NTT、NTT東日本、弘前大学医学部附属病院、メディカロイド、鹿島建設は2025年2月28日、遠隔手術支援の実現に向けて、物理的に離れた2つの病院間に設置した手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」をIOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)で接続する遠隔手術支援の実証に成功したと発表した。
同実証では、青森県内にある弘前大学医学部付属病院と、つがる西北五広域連合つがる総合病院をAPN(NTT東日本提供のAll-Photonics Connect powered by IOWN)にて接続し、実際の医師による人工臓器モデルを使用した現実に即した遠隔手術支援の実証を実施。APNの通信品質の評価および同環境下に接続したhinotoriを高精度かつ安定して遠隔操作実現できるか実証した。
また、同環境下に接続した鹿島建設の立体音響スピーカー「OPSODIS 1」、バイノーラルマイク(人間の耳の位置に配置されたマイクを使用して音の立体感を再現する録音機器)、高精細4Kリモートカメラ、大型モニターをAPNと組み合わせて活用することにより、離れた病院間の手術室にいながら、まるで同一の手術室にいるかのような臨場感のある円滑なコミュニケーション環境を実現できるか検証した。
APNを活用した遠隔手術支援の構成イメージ
結果、APNの通信品質の評価については、片道の伝送遅延は0.28msec、遅延ゆらぎは平均0.00μsec、最大0.02μsecという結果だった。さらに、APNとNTTの従来ネットワークとを比較し、約4倍の伝送遅延性能、120倍以上の最大遅延ゆらぎ性能であることを確認した。今回は約30kmの距離において評価を行ったが、APNは距離に伴う遅延やゆらぎの影響を僅少化できるため、さらに長距離となった場合の効果も期待できるとしている。
遠隔コミュニケーションの評価に関しては、術者にコミュニケーション環境を体感してもらい、「コミュニケーションの臨場感を感じるか」等のアンケートに対して高評価を得たという。