「ユニバーサルサービスは固定網とモバイル網で実現」総務省が報告書案

総務省は2024年10月17日、「電気通信事業分野におけるユニバーサルサービスの確保の在り方 報告書(案)」を公表した。

その中で、今後の情報通信インフラは、無線技術の進展やメタル回線設備の縮退等も視野に、NTN(非地上系ネットワーク)を補完的に活用しつつ、固定網とモバイル網の双方で、全国・どこでも、電話とブロードバンドが利用できる環境を実現するべきとしている。

基本的な考え方

基本的な考え方

また、通信分野において10年先の動向を見極めることは困難であるため、具体的な制度設計の検討は2030年頃までを射程とし、今後の環境変化に応じて適時・柔軟に見直すこと、政策手段については、国民負担が大幅に増加するような手段は避けつつ、予算・税制上の支援措置、規制措置やユニバーサルサービス交付金制度など多様な政策手段を適切に組み合わせることが適当としている。

ユニバーサルサービス責務の内容として、電話については現在、NTTにあまねく提供責務が課されているが、モバイル網固定電話のユニバーサルサービスへの追加により、複数事業者が連携したエリアカバーが実現可能となるため、サービスの効率的な提供及びNTT東西の負担軽減の観点から、あまねく提供責務は、「複数の事業者が連携してエリアカバーすること」を前提とする最終保障提供責務に見直すことが適当とした。

責務の内容

責務の内容

このように見直しをすると、メタル固定電話の利用者の円滑な移行が進んでいない地域からNTTが撤退する場合、他事業者がサービスを提供していても、既存利用者の利益が大きく阻害されるおそれがある。このため、メタル固定電話の利用者が残存する区域では、NTT東西の業務区域の縮小を制限する規律を課すべきとしている。

ブロードバンドについては、未整備地域等の提供責務が設けられておらず、全国あまねく利用できる環境を実現するためには、多様な設備設置事業者がサービス提供している状況を踏まえると、「複数の事業者が連携してエリアカバーすること」を前提とする最終保障提供責務を新設することが適当とした。

最終保障提供責務の担い手だが、適格電気通信事業者(申請により指定を受けてユニバーサルサービスの交付金を受ける者)は、交付金を受ける以上は、交付金の対象となる地域では、取り残される者を作ることなく責務を担うことが適当であるため、適格電気通信事業者がいる地域では、最終保障提供責務は、適格電気通信事業者が担うべきとしている。

責務の担い手

責務の担い手

一方、適格電気通信事業者がいない地域では、①NTTは、電電公社から承継した全国規模の線路敷設基盤を保有し、不採算地域へのサービス展開が容易であり、かつ電話のあまねく提供責務を担う特殊会社としての実績があること、②固定電話の効率的な提供に加えて、メタル固定電話の既存利用者の保護とその円滑な移行を併せ実現するため、 NTT東西の業務区域の縮小の制限とセットで、NTTのあまねく提供責務を最終保障提供責務に見直すものであることなどから、ブロードバンド、電話ともNTTが担うことが適当としている。

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