ソフトバンクは2024年9月24日、災害の発生により、通信サービスが一時的に使用できなくなった地域の暫定的なネットワーク復旧手段として、衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」とソフトバンクの小型無線機、およびWi-Fiルーターを組み合わせた、避難所向けシステムを開発したと発表した。7月から全国のネットワーク拠点に順次配備を開始し、9月に全国で運用可能な体制の構築が完了したという。
システムの構成
なお、9月21日に発生した低気圧と前線による大雨に伴う災害への対応として、9月24日から石川県珠洲市の避難所で初めて運用している。
簡易基地局の設置風景(屋内)/設置作業の様子
同システムは、災害により一時的にモバイル通信サービスが使用できなくなった地域にある避難所において、暫定的に通信サービスを提供するシステムとして運用する。避難所内にインターネット経由のバックホール回線で接続が可能な5G対応の小型無線機とWi-Fiルーターを組み合わせた簡易基地局を設置し、屋外に設置したStarlinkのアンテナと接続することで、ソフトバンク回線を利用しているユーザーには音声通話やデータ通信などのモバイル通信サービスを提供するとともに、ソフトバンク回線以外の利用者も利用可能な無料Wi-Fiサービスを提供する。
同システムは、基地局とGPSアンテナを設置する架台として三脚を用いており、設置や収納を容易に行うことができるほか、1人でも持ち運びが可能だ。
また、9月3~4日に宮城県仙台市の旧作並小学校で、同システムの設置手順の検証と、電波伝搬測定およびスマートフォンを使用した音声通話とデータ通信の速度測定などを目的とした実証実験を実施した。
実証実験の様子/電波測定の様子
設置に関する検証では、災害時に安全かつ迅速に通信サービスを提供するために、実運用を想定した施工手順の確認を行った。電波伝搬測定や速度測定では、避難所の様々な場所に本システムを設置して、最適な設置場所を検証・確認するとともに、どの場所に設置しても全域で快適な音声通話とデータ通信が利用できることを確認したという。