インターネットイニシアティブ(IIJ)は2011年10月14日、海外戦略に関する記者説明会を開催した。「製造業を中心に日本企業の海外進出が加速しているが、最近では中国だけでなく、バンコク近郊の工業団地やミャンマーなど、アジア全域に進出先が広がっている。また、お客様の要望もインターネット接続サービスから、次のステップであるクラウドコンピューティングへと明らかに移行してきた」(同社代表取締役社長の鈴木幸一氏)。今回の説明会で発表された新サービスは、このように変化する海外進出企業のニーズに応えるものだ。
国際インターネットVPNサービスを200カ国で提供
会見では最初に、IIJグローバルソリューションズ代表取締役社長の岩澤利典氏がネットワークサービスの海外展開について説明した。なお、IIJグローバルソリューションズは昨年9月に買収したAT&Tジャパンをベースに新規に設立された子会社である。
IIJグローバルソリューションズ 代表取締役社長 岩澤利典氏 |
まず紹介されたのは、日本を含むアジア主要キャリアの回線を最適に組み合わせて提供する「グローバルネットワークアウトソーシングサービス」(GNOS)だ。「ICTがないとビジネスそのものが今は動かないが、ローカルキャリアの回線品質は、日本のキャリアと比べると非常に厳しい状況。そこで我々が、グローバルキャリアとローカルキャリアの回線をうまく選択し、ソリューションとして提供する」(岩澤氏)という。回線だけでなく、セキュリティやデータセンター、各種運用・管理サービスなども組み合わせられる。
また、全世界200カ国以上をカバーする国際インターネットVPNサービス「Net de! World」も発表、同日から提供を開始した。これは、インターネット回線の手配からVPN機器の調達、オンサイト保守までを一手に提供するもの。「インターネットVPNでできるだけ安価にネットワークを構築したいというニーズは非常に高いが、それぞれの国で自ら構築するのはかなり大変。そこをワンストップで提供できるのがNet de! Worldの特徴となっている」
さらに、IIJ独自のネットワーク機器の設定自動化・運用開始サービスであるSMF(SEIL Management Framework)をジュニパーネットワークスとの提携などにより海外展開していくほか、SaaS型の資産管理サービス「GLASS」とマネージドビデオ会議サービスも海外展開していく予定だという。
GLASSは、ネットワーク機器、サーバー、スマートフォンなどPC以外の機器も含めてIT資産を統合管理できるもの。また、不正PC接続検知・遮断やリモートコントロールなどの機能も用意する。「IT部門からすると、海外拠点の資産管理やセキュリティ管理をどうやって行うかが課題だが、本社で一元的に管理できる」
このほか、日・英・中の3カ国語に対応し、エンドユーザーへのヘルプデスク機能も提供可能なマルチリングヘルプデスクについてもアピールされた。