総務省が有識者らで構成する「デジタルビジネス拡大に向けた電波政策懇談会 5G普及のためのインフラ整備推進ワーキンググループ」が2024年5月21日、報告書案を公開した。
近い将来の「データ爆発」に備え、通信インフラの充実化を図るのが目的。インフラ整備の基本的な考え方として「低周波数帯から高周波数帯まで、幅広い周波数帯を活用することが重要」としたうえで、次の通り、新しい目標設定のあり方を示した。
インフラ整備の基本的な考え方(5G普及のためのインフラ整備推進WG 報告書(案)概要より)
6GHz以下の帯域を指すサブ6(Sub6)については、「まずは高トラフィックエリアの整備を進めるべき」とし、「2027年度までに高トラヒックエリアの80%のカバーを全社共通の目標」とした。
キャリア各社に28GHz帯が割り当てられているミリ波については、インフラシェアリングも活用しつつ、「2027年度までに5万局(4者合計)」の目標を設定をすることにより、インフラ整備を促すべきとした。また、ユースケース発掘の観点から、各キャリアは「大阪・関西万博のような多くの利用者が集まる場所にミリ波の基地局を設置することも検討すべき」と提言した。
ミリ波は技術の進展が早いことも考慮し、総務省はミリ波の整備目標について、3年後の見直し時期に関わらず適時適切なタイミングで見直しを検討するべきとしている。
なお、国は、今回設定されたサブ6展開率の目標を4.9GHz帯の割当ての際の指標とすることを検討するとしている。
原則として「SA対応基地局で整備」
SA(Stand alone)普及のための新しいインフラ整備目標については、「今後整備するサブ6・ミリ波の基地局は、原則として全て、将来的にはSA対応可能な基地局での整備を目指すべき」とした。
ミリ波、SA普及のためのインフラ整備目標の設定(同 報告書(案)概要より)
これについても、総務省は各キャリアにSAの活用事例等が記載された「SA活用レポート」を提出してもらい、概要を公表すべきとしたうえで、3年後の見直し時期に関わらず、適時適切なタイミングで見直しを検討するべきと提言している。
そのほか、本報告案では、携帯電話事業者と国に対して追加提言を行っている。
主な項目としては、国と携帯電話事業者は屋内対策としてのミリ波の検討を行うこと、カバレッジの際のNTN(非地上系ネットワーク)の技術的可能性について検討を深めることなどを挙げた。
また、今後の整備目標の見直しに当たっては、携帯電話事業者のみならず、5Gのユーザー企業などからも意見を聴取するとともに、自動運転等の社会実装に向けて現在政府において検討している「デジタルライフライン全国総合整備計画」など政府の他のデジタル施策の取組状況にも留意することとしている。