i-PROは2023年11月2日、AIネットワークカメラのハイエンドモデル「Xシリーズ」をフルモデルチェンジし、2024年2月から販売すると発表した。設置した現場の環境に合わせた追加学習が可能なAI現場学習アプリケーションを搭載する。
i-PRO「Xシリーズ」
従来のAIカメラは、検知できるのはあらかじめ学習させた対象物に限られ、検知対象を追加するには新たなアプリケーション開発を必要とした。また、学習した対象物を検知できなかったり(失報)、誤って検知したり(誤報)など、精度に問題があったという。
新たに開発したAI現場学習アプリケーションは、設置現場に合わせ検知対象の追加を行ったり、誤報や失報のフィードバックにより検知率の向上を行ったりする追加学習を設置後に可能とする。これにより、信頼性が向上した解析データによる確度の高い対策の立案や、現場巡回業務の削減などが期待されるとしている。
検知対象の追加では、標準検知対象である人物・車・二輪車に加え、フォークリフトなどの作業車、スケートボードなどの遊具、あるいはクマ、イノシシ、サルなどの野生動物を検知し、侵入時にアラームを発報することができるという。また、店舗ユニフォーム着用者を検知し、店員と一般客を区別してカウントすることも可能という。
誤検知、検知漏れの削減では、標準検知対象である人物・車・二輪車の検知精度が改善し、角度、向き、姿勢などによる誤報・失報を防ぐとしている。
「Xシリーズ」に搭載するAI現場学習アプリケーション
なお、同社によればセキュリティカメラ搭載AIアプリケーションで学習する方式において、設置現場で環境に応じたAI学習を行うのは業界初だという(2023年10月現在)。
モデルチェンジするXシリーズは、屋外用ボックスカメラ、屋内用ドームカメラ、屋外用ドームカメラ、それぞれ2MP(1080p)、5MP、8MPのセンサーを搭載した各3機種の計9機種。2MP(1080p)、8MPモデルは2024年2月、5MPモデルは2024年4月より販売する。価格はいずれもオープン価格となる。
「Xシリーズ」モデル一覧
ROM領域を大幅に拡張し、カメラに搭載できるAIアプリケーションを最大9つ、同時使用数を最大5つに増やした。AI性能、CPU性能を従来モデル比で約4倍に向上させたことと合わせて、今回搭載したAI現場学習アプリケーションのような複雑で高負荷のアプリケーションの使用が可能になったという。
同一ネットワーク上のAI非搭載カメラの映像を取り込んで解析したり、データの改ざんやなりすましを防ぐセキュリティ機能も搭載する。