「NTTの市場支配力是正を」通信各社が「光の道」議論で要望――ソフトバンク新提案にNTTは「実現不可能」

「光の道」構想の実現に向け、今後の論点についての関係者ヒアリングが実施され、NTTの市場支配力の是正への要望が多く挙がった。

総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」(ICTタスクフォース)は2010年11月9日、「過去の競争政策のレビュー部会」(第1部会)と「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」(第2部会)の第16回合同会合を開催した。今回は、前回まとめた「公正競争の一層の活性化に関する論点整理」の内容について、関係事業者・団体からのヒアリングを実施した。意見を述べたのは、ケイ・オプティコム、ジュピターテレコム(J:COM)、イー・アクセス/イー・モバイル、テレコムサービス協会、ソフトバンク、KDDI、NTT/NTT東日本/NTT西日本の各社・団体。

NTT持ち株の三浦惺社長は決算説明会のため欠席したが、主要通信事業者のトップが顔を揃えた

論点整理では、公正競争環境の整備を図る観点から、(1)アクセス網(ボトルネック設備)のオープン化等の在り方、(2)中継網(ボトルネック設備)のオープン化の在り方、(3)ボトルネック設備利用の同等性確保の在り方、(4)NTTの在り方、(5)総合的な市場支配力に着目した規制の在り方、(6)利用者料金規制の在り方の6点について検討することが必要としている。

第2部会の山内弘隆座長は、各社に対して「このなかで最も優先すべきはどの項目と考えるか」と質問。最も多かったのは(5)であり、KDDI、J:COM、ケイ・オプティコムが挙げ、NTTの市場支配力是正を強く求めた。

NTTとソフトバンクが激しい応戦

ソフトバンクは従来からの主張通り(4)を挙げ、孫正義社長は「完全分離以外ない」と主張。10月25日に発表した、光アクセス回線部門をNTTから分離し、国と通信会社の共同出資によるアクセス回線会社設立を改めて提案した。なお、今回NTTの株主にも配慮し、株主はそのままで分社化し、そこにソフトバンクなどが増資して参加する「案(2)」も新たに提示した。

ソフトバンクの新提案についてはNTTが改めて反論。持ち株会社の鵜浦博夫副社長は、ソフトバンクが9月1日のNTTの反論を受けて試算を更新した結果のなかで「電柱・土木費用、回線管理費用:280億円」について、「電柱土地代と電力会社に支払っている共架料の合計のみで340億円」と明かした。そのうえで「一番シンプルな費用すらカバーできていないのだから、試算には根本的な誤りがある。月額1400円で光回線を提供することは実現不可能」と語った。また、5年という短期間でのオール光化案についても、工事稼働率やユーザー宅内機器の切り換え問題等を挙げて「実現不可能」と断言した。これに対してソフトバンクの孫社長は、「“できない”と言う経営陣にそのまま任せてよいのか。明確に分社化して“やれる”“リスクを取って実現させたい”という経営陣に任せるべきだ」と応戦した。

孫社長はさらに、8月31日に総務省の政務三役が示した“「光の道」戦略大綱”で、「2015年頃を目途に、すべての世帯においてブロードバンドサービスの利用を実現」という目標が謳われていることに言及。「タスクフォースは、これを実現するための具体的な方法論を議論する場ではないか。我々が出した2案以外があれば、それも含めて実現の可能性を議論して欲しい」と要望した。

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