神戸大学とNTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、メディカロイドは2023年2月1日、 約500km離れた東京と神戸の2拠点間で、スタンドアローン(SA)方式の商用の5G を活用し、若手医師のロボット手術を熟練医師が遠隔地から支援する実証実験に成功したと発表した。商用化されたモバイル通信と手術支援ロボットを用いて、約500km離れた関東・関西の2拠点間で遠隔支援を実施した実証実験は国内初という。
実証実験のイメージ
本実証は、地方部の若手医師が執刀するロボット手術を、都市部の熟練医師が支援することを想定したもの。若手医師のいる東京の赤坂インターシティコンファレンスと、熟練医師のいる神戸の統合型医療機器研究開発・創出拠点(MeDIP)に、手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ) サージカルロボットシステム」を配置。拠点間を 5Gおよびドコモのクラウド基盤(docomo MEC、MECダイレクト)で接続した。
ドコモと神戸大学らは従来5Gとhinotoriを活用した実証を行ってきたが(関連記事:名医の技をロボットへ 5Gで治療・手術をデジタル化)、今回、2つのサージョンコックピットでロボット手術を行うデュアルコックピット機能を新たに導入。本機能で扱う高精細な手術映像や音声、ロボット制御の大容量データをセキュアかつリアルタイムに伝送することで、東京の若手医師が行うロボット手術に対して、神戸の熟練医師が遠隔から手術状況を確認し、会話やロボットの代理操作を行うことが可能となり、遠隔地からの手術支援・指導を実現したという。
この遠隔支援が実現することで、都市部の熟練医師の手術支援を地方部でも受けることができるようになり、地域医療格差の是正により日本のどこでも高度な外科医療を提供できる可能性がある。また、遠隔指導による若手医師の教育の質の向上や、医師の働き方改革にも貢献できるとしている。
5Gの活用により、各病院で特別なインフラを導入することなく、低コストで均一な通信品質を利用できる点もポイントだ。手術室のケーブルレス化が可能になるなど、汎用性の高い遠隔医療ソリューションとしての活用が見込まれている。