前回の記事で解説した通り、5Gテクノロジーは多くの恩恵をもたらしています。スループットの向上、レイテンシーの低減、ネットワーク容量の増強などで、より多くのデバイスをインターネットにつなぐことができるようになります。映画などの動画、あらゆる種類のデータを高速でダウンロードできるようになり、ビジネスそして消費者にとっての一連のメリットが生まれます。これは、Quectelでアンテナビジネス開発担当ディレクターを務めるコリン・ニューマン(Colin Newman)の言葉です。
このような恩恵を受けるには、その基盤となる通信ネットワークと、そのネットワークを利用する無線デバイスがそれぞれ最適化されている必要があります。無線デバイスのパフォーマンスを最適化するには、RFフロント・エンドのデザイン・レイアウト全体を、最高の5Gパフォーマンスが実現できるように設定する必要があります。
ここで非常に重要な役割を果たすのがアンテナです。例えばアンテナの位置が非効率だと、アンテナのパフォーマンスの低下やデバイスの消費電力の増加などにつながります。これは、ほかのコンポーネントからの干渉を受けたり、金属ケースを挟んでアンテナを配置したりすることでコネクティビティのパフォーマンスが最大限発揮できない場合があるためです。
しかし、各ユースケースに最適なアンテナ設計を適用することで、パフォーマンスに影響してしまうこれらの問題を回避することができます。既製品のアンテナは多くの種類のデザインに対応しており、候補となるアンテナの種類も多様です。例えばチューナブル・アンテナ、またはMIMOやビームフォーミングのソリューションに対応するために複数のアンテナを考慮したデバイス・デザインがあります。5Gデバイスから最大のスループットを引き出すために、これらの重要性が高まっています。
アンテナの種類によってその特徴も異なります。どのアンテナを使用する際でも、そのアンテナに合ったモジュールと組み合わせなければ、優れたパフォーマンスは実現できません。複数のアンテナを用意することで、さまざまなプロトコルでスループットの向上が可能になります。
クエックテル・ワイヤレス・ソリューションズ 日本支社 リージョナルセールスディレクター 。2020年にクエックテル・ワイヤレス・ソリューションズ 日本支社のリージョナルセールスディレクターとして入社。それ以前は東芝で29年間勤務、シニアマネージャーとして産業および自動車業界において需要を開拓し、同社の半導体部門の世界的な拡大に貢献した。また、日本と韓国における自動車関連の数々の新事業を立上げ、現地営業チームの指揮、マーケティングキャンペーンの展開、新製品ポートフォリオの推進を行う。慶應義塾大学図書館・情報学専攻