NTT東日本が地域DX加速へ新組織「地域循環型ミライ研究所」を設立

NTT東日本の澁谷直樹社長が2023年1月24日、デジタル技術を活用した地方活性化を加速するための新組織「地域循環型ミライ研究所」の設立を発表した。これまで農業や再エネ、ドローン活用など非通信分野の事業を展開してきたノウハウを活かして、地域資産の調査・研究、振興策の検討・立案等を行っていくという。

「日本には、各地域に根付いた文化や歴史など魅力的な資源が多くある。そのポテンシャルを最大限に活かすことにチャレンジしたい」

NTT東日本が2023年1月24日から開催したプライベートイベント「NTT東日本グループ SolutionForum 2023」の基調講演で、澁谷直樹社長はそう切り出した。NTT東日本グループが目指す姿として「地域の未来を支えるソーシャルイノベーション企業」を掲げ、これまでも進めてきた“非通信事業”へ注力する姿勢を改めて強調した。

NTT東日本 代表取締役社長 社長執行役員 澁谷直樹氏

NTT東日本 代表取締役社長 社長執行役員 澁谷直樹氏

同社は近年、固定通信事業以外の分野で様々なビジネスを展開している。スマート農業や再生可能エネルギー、ドローン活用などを手がける“専業会社”を次々と設立。農業分野ではNTTアグリテクノロジー、ドローンではNTT e-Drone Technologyといったグループ企業がそれぞれの分野でノウハウを蓄積してきている。

各地で芽吹く「デジタルで街おこし」

これらのビジネスが常に軸足を置いてきたのが「地方活性化」だ。

例えば農業に関しては、山梨市でシャインマスカット生産農家を支援。IoTセンサーによる圃場の環境センシング等により安定した栽培を実現した。さらに、約2年前にはNTTアグリテクノロジーが約1haの自社圃場を作り、リーフレタスの栽培も開始。収穫物は地場および首都圏のスーパーマーケットで販売している。

再生可能エネルギーの分野では、バイオマス発電を手がけるバイオマスリサーチ社と組んで、畜産・酪農専業会社のビオストックを設立。家畜のふん尿からエネルギーを生み出す超小型バイオガスプラントを開発し、そこから得た電力やたい肥を地域産業で活用する“エネルギーの地産地消”を実現するソリューションを手がけている。

農業×再エネによる取り組み(山梨県長井市)

農業×再エネによる取り組み(山形県長井市)

山形県長井市では、農業向けICTソリューションと、この超小型バイオガスプラントを組み合わせ、上図表のような「循環型地域社会」実現に向けた取り組みも実施。生ごみや食べ残しをエネルギーやたい肥に転換するソリューションの開発と社会実装も進めている。

長野県小布施町では、観光振興の取り組みで実績を上げている。観光名所である岩松院にある葛飾北斎作「鳳凰図」のデジタルリマスター版を制作し、周辺地域や都内で展示することで小布施町をアピール。地域の文化遺産を有効活用して観光振興、ひいては定住人口の増加を目指している。

長野県小布施町における観光資源デジタル化の取り組み

長野県小布施町における観光資源デジタル化の取り組み

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。