――Cato Networksがどのような事業を行っているか紹介をお願いします。

ウェバービックス　2015年に世界で初めて、現在の「SASE（Secure Access Service Edge）」をビジョンとして掲げて創業したイスラエルの企業です。調査会社のガートナーがSASEを定義したのは2019年ですが、当社のビジョンと非常に共通項は多いです。

Cato Networks プロダクトマーケティング担当副社長（VP）

イアル・ウェバービックス（Eyal Webber-Zvik）氏

――Cato Networksは創業以来、急速に成長し、2022年8月時点での時価総額は約25億ドルです。最近のビジネスの状況を教えてください。

ウェバービックス　現在はPoP（接続点）が75カ所を超え、世界150カ国以上でサービスを提供しており、1300社を超えるエンタープライズに採用されています。従業員数も現在は約650名ですが、年末には700名を超える見込みと順調に成長しています。

――SASEソリューションの機能面でのアップデートはありますか。

ウェバービックス　ガートナーは2021年、SASEの構成要素の一部であるSWGやCASB、ZTNAなどを、ユーザーの購入パターンを反映する形で集約した「SSE（Security Service Edge）」市場を定義しています。当社もSSEソリューションである「Cato SSE 360」を2022年7月から提供開始しました。Cato SSE 360と当社のSD-WANである「Cato Socket」を組み合わせることで、ゆくゆくはフルSASEを実現できる道筋を用意いたしました。

Cato SASE Cloudのイメージ

また、Cato SASEクラウドおよびCato SSE 360の1機能として、DLP（情報漏洩対策）エンジンの「Smart DLP」も提供開始しました。当社のような統合されたソリューションの場合、1つの機能のアップデートはそれ以上の効果をもたらします。例えばDLPであれば、次世代ファイアウォール機能のアプリケーション識別機能に組み込むことができるほか、IPS（侵入検知）機能もDLPと連携することで判断力が高まるからです。このように、統合されたプラットフォームにおいては1つのアップデートが指数関数的な進化をもたらします。

Cato DLPのダッシュボード画面

――創業当初、SASE市場には競合ベンダーはわずかしかいなかったかと思いますが、今では多くのベンダーがSASE市場に参入しています。

ウェバービックス　競合にビジネスを脅かされているとは一切感じていません。当社の強みは2015年からまっさらなSASEをつくりあげてきたため、レガシーを一切背負ってないことです。後発ベンダーの多くはレガシーのビジネスにも力を入れながらSASEに取り組んでいるため、当社を追い抜くことはまず不可能だと考えていますし、キャッチアップできる企業がいたとしても、せいぜい2、3社ぐらいしかないのではないかと思っています。グローバルのSASE市場の年間平均成長率は、調査会社のアナリストによると年35～60%ですが、当社の成長率は業界平均よりも高く見込んでいます。

――SASEあるいはSSEを導入したユーザーの間では、価格面での懸念が増えてきているようです。

ウェバービックス　SASEの各機能を個別のベンダーから購入すると、最終的にITインフラのTCO（総保有コスト）が高くなります。例えば、次世代ファイアウォール、ZTNA、SWGをすべて別のベンダーのものにすると、導入後のメンテナンスが大変です。これら全部を融合して提供する1社のベンダーから購入したほうが、最終的にはコストが安く抑えることができます。SASEを実現する際のコスト最適化の鍵は、1社のベンダーから購入するというところにあると思います。