次々と新製品が登場している日本のローカル5G市場にまた1社、新たなプレイヤーが参入した。Quanta Computerの子会社でデータセンター向けソリューションを手掛けるQuanta Cloud Technology(QCT)だ。
同社のローカル5Gソリューション「QCT OmniPOD エンタープライズ5G」は、海外で21件の導入プロジェクトがあり、日本国内でも2件のPoCが進行中だという。Interop Tokyo 2022のブース説明員によれば、「北海道でスマート農業に使うためのPoCを行っている」。
QCT OmniPOD エンタープライズ5Gの特徴は「オールインワン」だ。5Gコアと5G基地局、ネットワーク管理システムをワンパッケージにして提供することで、導入のしやすさを追求している。
5Gコア「QCT OmmniCore」はスタンドアローン(SA)方式に対応し、最大160Gbps、最大同時接続端末数1万240台の性能を備える。RAN接続用の「データスイッチ」2台、インテルXeonプロセッサー搭載コアサーバー2台の冗長構成が可能で、説明員によれば「5秒以内にノードを自動で切り替える」耐障害機能も備える。
基地局はO-RAN準拠、「準同期」にも対応
基地局設備「QCT OmniRAN」はO-RANの仕様に準拠しており、CU/DU機能をインストールしたサーバー「OmniRAN-ESGBBU」(以下、BBUサーバー)、フロントホールゲートウェイ(FHGW)、屋内用と屋外用のRUで構成される。BBUサーバー1台につき、最大4台のRUが接続可能だ。
屋内用(左)と屋外用(右)のRU
周波数帯は日本国内で使用可能な4.6~4.9GHz帯をサポート。台湾NCC認証に加えて、日本のTELEC認証も取得している。上り通信と下り通信に使用する周波数リソースの比率を変更できる「準同期」にも対応する。
そして、最も注目されるのがネットワーク管理システム「QCT OmniView」だ。Webベースのダッシュボード画面でパフォーマンスやトポロジーの状態、アラート等が確認できる(下画像)。SIMや端末のプロビジョニング、RANパラメータ設定、レポーティングなど豊富な機能を備える。
QCT OmniViewの画面。GUIでローカル5Gシステムの監視・管理が可能だ
GUIベースの管理システムを備えたローカル5Gソリューションは、まだ少ないのが現状だ。商用化後の運用負荷まで考慮した場合、このOmniViewの存在もQCTの大きな差別化ポイントになりそうだ。