「ネットワーク運用を徹底的に効率化し、新領域にシフトしていくことがグループの経営課題の1つだ」。NTTドコモ ネットワーク開発部 E2E(エンドツーエンド)オーケストレーション担当部長の鈴木啓介氏はこう話す。
同社は昨年10月に発表した「新ドコモグループ中期戦略」において、高品質で経済的なネットワークの実現という目標を掲げ、そのための具体策の1つとして「ゼロタッチオペレーション」の推進を設定した。NTTコミュニケーションズの固定ネットワークとの融合とともに、運用自動化を推し進める。
高品質で経済的なネットワークの存在は、企業がDXに取り組むうえで不可欠だ。通信事業者がこれまで以上に企業のDXへ貢献したいと思うならば、自身もネットワーク運用のDXに取り組み、品質と経済性をより高める必要があるだろう。
通信事業者では今、ゼロタッチオペレーションやインフラ構築のコード化といったネットワーク運用DXへの挑戦が本格化している。
(左から)NTTドコモ ネットワーク開発部 E2Eオーケストレーション
担当部長 鈴木啓介氏、同 主査 尾本泰輔氏
最大の挑戦はネットワークスライスの自動運用ゼロタッチオペレーションのなかで最もチャレンジングな領域の1つは、5Gサービスの目玉であるネットワークスライシングの自動運用だ。
「ネットワークスライシングは、様々な業界と共創を進めるうえでキーとなる要素だ。スライスをタイムリーに提供することでお客様のDXを支援したい。そのためには我々自身のDXが欠かせない」と鈴木氏は言う。
ドコモはネットワークスライシングのゼロタッチオペレーションを目指し、2021年7月に専任チームを立ち上げた。チーム名は「E2Eオーケストレーション(E2EO)」。RANからコアまで様々なインフラで構成される5Gネットワーク上で、仮想スライスをエンドツーエンドに統合管理する機能の名前だ(図表1)。
このE2EOが、ネットワークスライシングのゼロタッチオペレーションの鍵を握ることからチーム名に採用した。
図表 エンドツーエンドオーケストレーター(E2EO)の役割