SPECIAL TOPICミリ波の5Gをキャリア向けに早期から提供 L5Gでサブ6オールインワン型基地局も

ローカル5Gの“本命”とも期待されているミリ波。しかしミリ波対応の基地局装置を提供できるベンダーは少なく、できてもキャリア向けの大手ベンダーが中心だ。エアースパンは楽天モバイルなどでの稼働実績を持ちながら、スモールセル向けのミリ波対応基地局をはじめ、柔軟なラインナップを企業へ提供する。

日本では楽天に導入 ミリ波対応のRAN装置を提供エアースパンは1998年に米国で設立されたネットワーク基地局ベンダー。「20年以上スモールセルを中心にRAN(Radio Area Network)を専門としてきた企業です。4Gから多くのTier1サービスプロバイダーネットワークで当社製品が稼働してきた実績があり、日本でも楽天モバイルに5G用の基地局装置を多数導入しました」とシップリー氏は紹介する。

楽天モバイルはエアースパンの仮想化無線アクセスネットワーク(vRAN)ソリューション「OpenRANGE」シリーズの導入を公表している。エアースパンではミリ対応の基地局装置として、「OpenRANGE28 Air5G 7200 RDU(屋外)用」「OpenRANGE28 AirVelocity 6200(屋内用)」を提供しており、これらの基地局を楽天モバイルは採用している。

5G RANは大きく無線送受信部(RU)、集約基地局(CU)、分散局(DU)の3つで構成される。エアースパンのミリ波対応ソリューションの特徴は、RUとDUが一体となった製品であることだ。「DUの装置または、DUをインストールする汎用サーバーのコストを削減できます」(シップリー氏)。また、屋外設置用のAir 5G 7200のサイズは400×220×120mm、重量は6.7kgと小型・軽量で設置が容易なことも重要なポイントだ。このため、電柱のような場所にも問題なく設置できる。

楽天モバイルは、Jリーグのプロサッカークラブ「ヴィッセル神戸」の本拠地「ノエビアスタジアム神戸」において、スマートフォン/スマートグラスにミリ波5GとVPS技術(精度の高い位置情報を得る技術)を組み合わせて、ARやVRなどを活用した顧客体験を提供している。この取り組みに採用されている基地局装置も、エアースパンのものだ。

屋内外で豊富なラインナップ プライベートネットワーク部門受賞エアースパンの強みはこうしたミリ波対応の基地局をはじめ、屋内外やサブ6など向けのソリューションを各種揃えていることだ。

「5G向けだけでも、2022年3月時点で屋外用が11種類、屋内用に8種類のRANソリューションがあります。大手ベンダーと違ってスモールセル向けの商品が充実している点が強みです」とシップリー氏は話す(図表)。

 

図表 エアースパンの屋内用5G RANソリューションのラインナップの一部

図表 エアースパンの屋内用5G RANソリューションのラインナップの一部

 

例えばサブ6用途で最も数多く展開されているソリューションが「OpenRANGE06 AirVelocity 2700」だ。「キャリア向けにも展開されていますが、ローカル5G向けにN79(4.5GHz帯)の技適も取得しています。日本ではすでに約15社から引き合いを頂き、商用環境やPoCなどで利用されています」(シップリー氏)

さらに現在、注目を集めているのが「AirSpeed 1900」。これはRU/DU/CUが一体となった、オールインワン型のローカル5G基地局だ。日本では夏頃発売予定となっているが、すでに問い合わせが殺到しているという。「今、オープンRANがトレンドであり、マルチベンダーでRAN装置を構成することが可能になりました。当社製品も、オープンRANのインターフェースに準拠しています。しかし、実際にはマルチベンダーで構築するのはテストなどの難易度が高く、マルチベンダー構成が浸透するには時間が必要です。ハードウェア部分が一体となっているオールインワン型の装置は、分離型で構築するより安定する傾向にあります」とシップリー氏は言う。一体型による安定性は今までモバイルネットワークを扱ってこなかった一般企業にとって特に強みとなる点だとした。「ローカル5G向けに基地局だけでなく、スイッチなどコアネットワーク装置や端末、ソフトウェアまでセットになったスターターキットも好評です」

エアースパン社は2021年、米国のテレコム業界専門メディア『フィアーステレコム』が主催する、フィアース・テレコム・イノベーション・アワーズにおいて、プライベートネットワーク部門およびデジタルデバイド部門で最優秀賞を受賞した。同社はキャリアでの稼働実績を豊富に持ちながら、企業のプライベートネットワークにも注力している希少なベンダーだ。ローカル5Gでも心強いパートナーになってくれるだろう。

 

<お問い合わせ先>
エアースパン・ジャパン株式会社
URL:https://www.airspanjapan.com/

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