NTTドコモが2010年中のサービス開始を計画しているLTEサービスの概略が明らかになった。2010年4月28日に開かれた2009年度決算会見で山田隆持社長が説明したもので、今年12月にまず東京、大阪、名古屋からサービスを開始する。
2GHz帯20MHz幅のうちW-CDMA/HSPAの1波分に当たる5MHz幅しか運用帯域を取れないため、当初の最大通信速度は37.5Mbpsにとどまるが、「羽田空港や地下街などの屋内エリアでは10MHz幅を使って75Mbpsで利用できるようにする」(山田社長)という。屋外エリアの増速も2012年度以降、検討する。同社では2010年度中に約1000の基地局にLTEを導入する計画で、投資額は350億円規模を想定している。
2010年12月時点で提供されるLTE端末はデータ通信用だけで、ハンドセットの提供は2011年から。ドコモはPCデータ通信を成長市場として捉えており、現在20万台ほどのデータ通信端末の販売台数を2011年3月までに70万台とする計画。LTEの導入によりトラフィックの集中する都心部での容量拡大を実現、PCデータ通信を本格展開できる体制を整え、WiMAXなど他のモバイルブロードバンドサービスとの競争を優位に進める考えだ。
2009年度のドコモの決算は営業収益が前年比3.7%減の4兆2844億円、営業利益が0.4%増の8342億円と減収増益。2010年度は営業収益が1.5%減の4兆2220億円、営業利益が0.7%増の8400億円を目指す。LTEによるPCデータ通信サービスの導入は、増収計画の柱となるパケット収益の増大に寄与することになる。