東芝と東芝デジタルソリューションズは2022年2月18日、東芝アメリカ社、JPモルガン・チェース、シエナの3社が、米国にて初めて金融アプリケーションの実行基盤で実証実験を行い、量子暗号通信(QKD)ネットワークの実用性を実証したと発表した。
今回の実証実験では、金融分野におけるブロックチェーンアプリケーションで送受される情報を保護するためにQKDネットワークを使用。大都市において、最大100㎞の距離で、実用レベルの800Gbpsの伝送速度で暗号通信が可能であることを確認した。
金融分野においては、高速大容量かつ低遅延なデータ伝送が厳格に求められる。このミッションクリティカルな分野において、盗聴者を即座に検出・防御し、来る量子コンピューター時代において、より安全で効率的なネットワークの構築が可能になるとしている。
本実証実験は、量子チャネルとデータ通信チャネルを同一光ファイバーで共有運用できる東芝デジタルソリューションズの多重QKDシステム、シエナの800Gbps光レイヤ暗号装置と6500フォトニックソリューション上で実行されるオープンAPIを備えたWaveserver5プラットフォームを使用し、JPモルガン・チェースの研究施設において実施された。
70kmの光ファイバー上で、QKDにより保護された実効データレート800Gbpsの光データ通信に成功。また、光ファイバーを最大100kmまで延ばした実験を行い、正常に実行できることも確認したという。
さらに、QKDネットワークインフラで測定したQKD鍵生成レートでは、高度暗号化標準(AES)の256ビット暗号鍵を毎秒1回変更する場合で258チャネル分を保護できることも確認した。