「日本におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は大きく立ち遅れている。特に人材とノウハウ不足に悩まれている中小企業や自治体の遅れは顕著だ。地域のDX推進を加速したい」――。
新会社「NTT DXパートナー」の代表取締役社長に就任する矢野信二氏は、2022年1月24日に開催したオンライン会見でそう語った。
NTT DXパートナーの代表取締役社長に就任予定の矢野信二氏(左)と、
代表取締役に就任予定の長谷部豊氏
NTT東日本はこれまでも農業分野に特化した「NTTアグリテクノロジー」、地域の文化芸術伝承を通じた地方創生を目指す「NTT ArtTechnology」、国産ドローン活用を推進する「NTT e-Drone Technology」など、通信以外の分野で事業を行うグループ会社を次々に設立してきた。
今回設立するNTT DXパートナーは、中小企業や地方自治体に対するDX推進支援を通して、地方創生に貢献するのが目的。NTT東日本およびNTT研究所が持つノウハウを活用し、「コンサルティングからDXプラットフォームの構築、運用まで一気通貫でサポートする」(矢野氏)。
新会社「NTT DXパートナー」の概要
地方の課題は「DX専門人材の不足」
新会社の代表取締役に就任予定の長谷部豊氏は、中小企業・地方自治体で最大の課題となっているのは、「DXを理解した専門人材の不足」と指摘。
DXへの取り組み状況に関する日本能率協会の調査によれば、「これから検討する、検討を進めているも含めると、中小企業でも(DXに取り組もうとする企業は)8割を超えており、関心は非常に高い。だが、実態として取り組めているのは3割弱だ」(長谷部氏)。自治体についても、DXに取り組んでいる自治体は約2割に留まるという。
従業員規模別のDXへの取り組み状況
こうした実態を改善すべく、NTT DXパートナーは次の3つを事業の柱にする。(1)DXコンサルティング、(2)DX実装・推進支援、(3)DXアセットシェアだ。
通信以外の分野も含めて、コンサルティングやデジタルプラットフォームの実装、DX人材育成・体制整備等を支援。また、NTT東日本グループやNTT研究所の人材・技術、ノウハウを顧客企業・自治体とシェアすることで、「お客様のコスト抑制や、DX推進の迅速化につなげたい」と長谷部氏は話した。