導入費用は最低でも数千万円から――。初期コストの高さが普及を阻んでいるローカル5Gについて、NECがそのハードルを大きく下げる新製品を発表した。
低価格化を達成するためにテコ入れしたのは、無線基地局の構成だ。従来は、RU(Radio Unit)と呼ばれるアンテナ部分と、これを制御するDU(Distributed Unit:分散局)とCU(Centralized Unit:集約局)が分離されていたが、これを合体。
RU/DU/CUを一体型とした基地局「UNIVERGE RV1000シリーズ」を開発することで、製品の低価格化と小型化を実現した。
ローカル5G一体型基地局「UNIVERGE RV1000シリーズ」の概要
加えて、RUとDU/CU間の接続が不要になり、設置場所も1カ所で済むことにより、設置工事の手間も大きく削減できる。これまで販売してきた分離型基地局と比べて、導入費用は50%以下に抑えることが可能という。
2022年1月20日にオンラインで開催した記者発表会で、NEC デジタルネットワーク事業部長の尹秀薫氏は、「中小規模ネットワークにも導入が容易な一体型製品とサービスを提供することで、ローカル5Gの本格普及に貢献していく」と話した。
Sub6帯一体型基地局を手に機能と販売戦略を説明する
デジタルネットワーク事業部長の尹秀薫(ゆん すふん)氏
クラウド型5Gコア、マネージドサービスもセットで
新製品の一体型基地局は、Sub6帯(4.6-4.9GHz帯)およびミリ波帯(28GHz帯)のそれぞれをサポートする2機種を発売する。
装置単体の価格は、Sub6帯の「UNIVERGE RV1200」が98万円で、2022年3月から受注を開始。同年5月に出荷を始める予定だ。スタンドアローン(SA)構成に対応しており、別途、5Gコアネットワーク設備が必要となる。
ミリ波帯の「UNIVERGE RV1300」は498万円で、2022年度第1四半期に受注を開始。第2四半期からの出荷開始を予定している。こちらはノンスタンドアローン(NSA)構成で、4G周波数(2.5GHz帯)の送受信機能も一体化。さらに、LTEコアネットワークであるEPC機能も含めたものとなっている。
NECでは、基地局単体での販売のほか、クラウド型で利用できる5Gコアネットワークやマネージドサービスを組み合わせた「スターターパック」も提供する。
Sub6帯一体型基地局(RV1200)と5Gコア(1年間の利用料含む)、ユーザーデータの伝送を行うUPFで構成される「Sub6スターターパック」の価格は498万円から。ネットワークのアラート検知やインシデント対応、保守手配・復旧対処等の支援を行うマネージドサービスの1年間利用料を追加した場合は、798万円からとなる。価格は構成や設置環境等によって変動する。
ミリ波帯についても、基地局(RV1300)とEPC等の基本機能一式を669万円からの価格で提供する「ミリ波スターターパック」を販売する。