<特集>特化型ワイヤレス進化論ワイヤレス給電が長距離化 竹中工務店はフロア全体のセンサーへ電源供給

10m以上離れた場所へ給電できる「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」が着実に進化している。2021年11月からビルマネジメントでの導入がスタート。一方、スマホ向けの実用化は時間がかかりそうだ。

無線を使って遠方のセンサーやデバイスに給電する「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」が、いよいよ実用化フェーズに入った。

竹中公務店は2021年11月、新築中の静岡営業所2階フロアに同システムによるワイヤレス給電環境を構築した。

床下に埋め込まれた送信機から、椅子の裏に取り付けられた温湿度や照度、CO2、気圧などの環境センサーに給電を行う。環境センサーが収集したデータをBACnet上で解析し、フロア全体の空調管理を最適化する。今後は様々なセンサーやカメラなどのワイヤレス給電への対応を進め、建物の拡張性を高めるという(図表1)。

図表1 竹中工務店の導入事例

図表1 竹中工務店の導入事例

総務省は2020年7月、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件について一部答申を公表。同システム向けの周波数として920MHz帯、2.4/5.7GHz帯の3つの帯域の仕様を策定するとともに、3段階に分けて規制を緩和し実用化する方針を明らかにした(図表2)。

図表2 空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの利用シナリオ

920MHz帯 2.4GHz帯 5.7GHz帯
使用環境 屋内工場、介護施設等 屋内工場、プラント、 倉庫等 屋内工場、プラント、 倉庫等
利用目的 センサーネットワーク の電源提供 2012年2月に標準規格化 2012年2月に標準規格化
受電装置台数
(送信装置1台あたり)
5~10台(同時) 1~数十台(逐次) 1~数十台(逐次)
動作必要電力 数μW~数百μW 約50mW~約2W 数mW~数百mW
伝送距離 ~5m程度 ~10m程度 ~10m程度
人がいる時の送信 実施可能
(電波防護指 針を超えない範囲)
実施しない 実施しない

※センサー、表示器等の動作に必要な電力であり、空間伝送電力とは異なる(出典:総務省資料を基に編集部作成)

2021年12月から2022年1月の間に予定されている第1ステップでは、電波防護指針を満たす距離が比較的短く、人の有無や他の無線システムとの干渉を考慮する必要のない920MHzを使って1Wの送電が屋内の有人環境で認められる。

竹中公務店の取り組みは、第1ステップにおける初の導入事例となる。

月刊テレコミュニケーション2021年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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