常態化するOTシステムへのサイバー攻撃、約4割の企業がこの1年間にインシデントを経験

IDC Japanの調査によると、過去1年間、OT分野のシステムにおいてセキュリティ上の事件/事故を経験した企業は約4割にのぼる。予算や人材の確保が難しいため中小企業などでは対策が遅れているが、ガイドライン/フレームワークに沿って十分な対策を取ることが、企業の中長期的な価値向上にとっても重要だ。

IDC Japanは2021年4月27日、「2021年 国内IoT/OTセキュリティユーザー調査」の説明会を開催した。

IDCでは今年2月、IoT/IIoT、産業用制御システムなどOTシステムのセキュリティ投資や対策の導入状況、インシデント被害状況やセキュリティ対策の課題など、国内企業のセキュリティの実態について調査・分析を行った。

それによると、過去1年間、OT分野のシステムにおいてセキュリティ上の事件/事故を経験した企業は、「事件/事故には至らなかったが危険(脅威)を感じたことがある」も含めると36.4%。前年度から2.0ポイント増加したが、調査結果と傾向に大きな変化は見られず、常態化していることが分かる。

OTシステムへのインシデントは常態化している
OTシステムへのインシデントは常態化している

事件/事故を経験した企業を産業分野別に見ると、「銀行、保険、証券」が最も多く16.1%、以下「公共/交易、資源」が14.3%、「流通(小売、卸売)」が13.5%となっている。

従業員規模別では、規模が大きくなるほど「事件/事故が発生したことがある」「危険を感じたことがある」との回答が増えており、従業員3001人以上の企業では54.6%にのぼった。

この点について、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの赤間健一氏は「大企業ほどきちんとしたセキュリティ対策を採っているため、インシデントを検知したり危険を感じるケースが多いのではないか」と指摘した。

経験した事件/事故については、「生産/製造ラインやシステムの一時停止(一部停止)が最も多く25.5%。マルウェアの感染(24.8%)、「情報データの漏えい(外部犯行)」(23.0%)と続く。「工場やシステムの破壊/破損/故障」(18.6%)、「生産/製造ラインやシステムの完全停止」(18.0%)といった大規模な被害を経験した企業もそれぞれ20%近くにのぼった。

事件/事故の発生場所は「外部ネットワーク接続部分」(40.4%)、「社内ネットワーク内」(38.5%)、「産業用制御システム等のOTネットワーク内」(13.0%)など、ネットワークに関わる場所が上位を占めた。

ネットワークに関わる場所が狙われている
ネットワークに関わる場所が狙われている

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。