3万6000のメンバー企業を抱えるBluetoothの標準化団体、Bluetooth SIG(Special Interest Group)が2021年版のBluetooth市場動向を発表した。
2020年の同市場は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、対前年比で横ばい。スマートフォンの出荷減少が大きく響いた。Bluetooth搭載デバイスの年間出荷台数は、2016年の34億から2019年の40億まで年に約2億台ずつ伸ばしてきたが、2020年は前年と同水準の40億台に留まった。
Bluetoothデバイス年間出荷台数の推移
ただし、デバイスの内訳をみると、“コロナ以前”とは大きな変化が見られる。Bluetooth SIG マーケットデベロップメント シニア・ディレクターを務めるチャック・セイビン氏は「スマートフォンや自動車のように成長が鈍化した市場がある一方、家にいる時間が長くなり、また人々が健康に気を使うようになったことでウェアラブル、スマートホーム関連は好調だった」と述べた。
Bluetooth SIG マーケットデベロップメント
シニア・ディレクターのチャック・セイビン氏
2021年以降については、コロナ以前と同様の成長基調に戻ると予測する。今回の市場調査を共同で行ったABI Researchによれば、年間出荷台数は年平均10%増加し、「2025年には64億台に達する」見込みだ。ウェアラブルやスマートホーム関連デバイスに加えて、Bluetooth Low Energy(BLE)を使った位置情報サービスによる資産追跡、照明制御やビル管理といったIoTソリューションの長期的な成長が市場を牽引するとした。
セイビン氏は次に、Bluetooth市場を「4つのソリューション分野」に分けて、現状と今後の展望について説明した。
Bluetoothが活用される4つのソリューション分野
年間出荷台数が最も大きい「オーディオストリーミング」はスマートフォンと関連アクセサリーの売上減の影響を受けて、2020年の出荷台数は2019年と同水準の11億台となった。
だが、新たな成長要因も出てきている。スマホ等とワイヤレス接続するBluetoothヘッドフォン、Bluetoothスピーカーの需要が増加しており、また、2020年に追加された新規格「LE Audio」が、補聴器などの新たなユースケース開拓を促進しているという。