総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」(ICTタスクフォース)は2010年10月26日、「過去の競争政策のレビュー部会」(第1部会)と「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」(第2部会)の第15回合同会合を開催し、今後の議論の叩き台として、「公正競争の一層の活性化に関する論点整理(案)」をまとめた。
両部会は5月14日に中間報告に当たる報告書をまとめているが、第2部会の山内弘隆座長によれば、「5月に出した報告書よりも、もう少し論点を絞って、詳細なところまで入れてまとめたもの」という。
論点整理(案)では、「我が国の競争政策は、事業者間のより一層公正な競争を通じた料金の低廉化とサービスの多様化を推進することにより、利用者利益の最大化を図ることを基本とするとともに、事業者間競争は、サービス競争と設備競争の両面から促進することが必要」という基本的な考え方を示した。その上で、公正競争環境の整備を図る観点から、(1)アクセス網(ボトルネック設備)のオープン化等の在り方、(2)中継網(ボトルネック設備)のオープン化の在り方、(3)ボトルネック設備利用の同等性確保の在り方、(4)NTTの在り方、(5)総合的な市場支配力に着目した規制の在り方、(6)利用者料金規制の在り方の6点について検討することを提案した。
7つの評価視点でNTTの在り方を検討
注目される(4)について中間報告では、NTT東西のアクセス網保有部門の在り方に関して、機能分離、構造分離(グループ内分社化)、資本分離(完全分社化)という組織的な再編を行う案と現状維持の4案を提示している。今回、NTTの在り方を検討する場合の評価の視点として、「国民のアクセス権の保障」「設備競争の促進」「サービス競争の促進」「グローバル競争への対応」「NTT株主への影響」「実現のための時間・コスト」「“光の道”の整備促進」の7項目を挙げたうえで、これらを前提とした場合に4案をどのように評価するかという論点を示した。
今後はこの論点整理(案)を基に「光の道」構想に関する最終報告の取りまとめに向けた議論を深めていくが、今回整理した論点について、11月9日に関係者ヒアリングを実施する。ヒアリングはNTT、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセス、ケイ・オプティコム、ジュピターテレコム、テレコムサービス協会、東京都地域婦人団体連盟の8事業者・団体を対象にする予定だ。