5Gが普及する2020年代は、ユーザーの近くで高負荷な処理やデータ保管等を行う“エッジクラウド”を活用したサービスが花開くことが期待されている。モバイルキャリアは5Gネットワーク内でこのエッジクラウドを運用するマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)を展開。固定キャリアも自社網内のエッジクラウドを活用した新サービスの創出を目指している。
この“キャリアのエッジ”は、どのように展開され、CPSの発展においてどんな役割を果たすのか。
世界に先駆けて5G MEC商用化MEC/エッジクラウドの展開について、具体的な取り組みを始めているのがNTTドコモとNTT東日本だ。
ドコモは5G商用化と同時にMECの商用サービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」を開始した。ソリューションサービス部 NWカスタマイゼーション推進・エッジクラウド推進担当 担当課長の山田将人氏は、「お客様が5Gに期待するのは低遅延。MECを加えることで、これがエンドエンドで使える。そのために、5Gと同じタイミングでMECを提供しようと準備してきた」と話す。
NTTドコモ ソリューションサービス部
NWカスタマイゼーション推進・エッジクラウド推進担当 担当課長の山田将人氏
MEC拠点は現在、東京・神奈川・大阪・九州の4カ所。画像認識やVR/AR等の11のソリューションが利用可能だ。「ドコモ網内で完結する」かたちで低遅延かつ高セキュリティなサービスが利用できる。
さらに6月には、MECと端末を直結して通信経路を最適化するオプションサービス「クラウドダイレクト」も開始した。接続先のMECに対してドコモ網内でも最短経路を通すことで、より低遅延な通信が可能だ。また、接続先のMECを柔軟に選択できる「ネットワーク・オン・デマンド」機能も利用できる。
図表1 ドコモオープンイノベーションクラウドのイメージ
MECの商用提供は国内ではもちろん初であり、海外でもまだほとんど例がない。5G・IoTビジネス部 ソーシャルイノベーション推進担当 担当部長の岩本健嗣氏は、「モバイル網の中にエッジクラウドを持つことは強み。低遅延性や、網内で完結するセキュリティの高さに関心を示していただくお客様は多い」と語る。