2019年3月にWi-Fiベンダーのミストシステムズを買収した後、ジュニパーネットワークスはAI技術を活用したネットワークの自動運用機能を発展させてきた。
ミストシステムズは元来、AIによるWi-Fiの障害検知や通信品質最適化を得意としており、ジュニパーはこの技術をベースにした企業ネットワーク向けソリューション「AIドリブンエンタープライズ」を展開。当初のWi-Fiに加え、2019年には有線LAN、2020年上期にはセキュリティ機能に“運用自動化”の範囲を広げてきた。
「AIドリブン」の範囲をWANに拡張する
そして今回、「AIドリブンエンタープライズ4.0」として、その範囲をWANに拡張した。ジュニパーネットワークス エンタープライズ担当上級副社長を務めるスジャイ・ハジェラ氏はオンライン形式で開催した記者説明会で「全体像が完璧になった」と話した。
これにより、クライアント端末からクラウドまでエンドツーエンドでAI技術を活用し、より迅速なネットワーク障害検知や原因特定、そして復旧・改善へのアクションが可能になるという。「ジュニパーのみが、こうした包括的なソリューションをネットワーク横断型で提供できる」とハジェラ氏は自信を見せた。
AIドリブン対応のWi-Fi6 APも拡充
このAIドリブンエンタープライズは、「Marvis」と呼ぶAIエンジンがネットワークの状態や利用者の体験品質(UX)をモニタリングすることで実現されている。今回発表された「4.0」では、モニタリング範囲をWANに拡張したほか、さらに2つの要素が追加された。
対話型インターフェースによりネットワーク障害検知、原因特定等が行える
1つは、Marvisの新しい対話型インターフェース「Marcis VNA」である。VNAは「仮想ネットワークアシスタント」の略。自然言語処理が可能で、ハジェラ氏によれば、「ボットではなく、例えば『Teamsのセッションは今どうなっているの?』と問いかければ仮想アシスタントがその答えをくれる」。ITスキルが高くない管理者でも、ネットワークの異常検知や障害原因の特定等が容易になるとした。
もう1つは、このMarvisに対応するWi-Fi 6対応アクセスポイント(AP)の拡充である。下図表の通り、4機種を新たにリリース。これで、ローエンドのAPまで含めて「すべてのWi-Fi 6 APがAIドリブンに対応した」。
Wi-Fi 6対応APを4機種追加した