“朝礼”もデジタル化ドコモと竹中工務店が建築現場向けソリューションを共同検討

NTTドコモと竹中工務店がタッグを組む。人手不足、コロナ禍にあえぐ建築現場をデジタル技術で支援するという。現場従業員が使うためのソリューションを複数実証して、早ければ2020年後半からサービス展開する構想だ。

「建設業界全体の付加価値向上のための取り組みだ」。竹中工務店 取締役専務執行役員の篠井大氏は冒頭、このように強調した。

ドコモと竹中工務店は2020年7月14日、オンライン会見を開き、建築現場のデジタル変革に向けて共同検討していくと発表した。生産性向上のため、竹中工務店が持つ建築現場の知見と、ドコモが持つIoT、AIなどのデジタル技術の知見を組み合わせ、ソリューションを開発・実証して展開していく。

「新型コロナウイルス予防の観点からも、デジタル技術の活用が望まれている。しかし、建築現場はアナログのコミュニケーションに大きく依存しており、他産業に比べると立ち遅れているといわざるを得ない。現場向けの、スタンダードモデルを確立したい」と篠井氏は狙いを語った。

(右から)竹中工務店 取締役専務執行役員の篠井大氏、
NTTドコモ 常務執行役員 法人ビジネス本部長 坪内恒治氏

コミュニケーションは対面からデジタルへ共同検討するソリューションの中身について、NTTドコモ 常務執行役員 法人ビジネス本部長 坪内恒治氏は「建築現場の“協働”と“個人”の活動を支援していきたい」と説明した。協働の支援とは簡単に言うと、これまで対面で行われてきたコミュニケーションをデジタル化することだ。

具体的には(1)時間と場所に左右されないフレキシブルな働き方、(2)安全に対する意識と知識を高め合う働き方、(3) リアルタイムな工程間の連携による無駄のない働き方の3点を目指すとしている。

協働を効率化するための3つの検討

(1)フレキシブルな働き方実現において、検討するのは「デジタル朝礼システム」。建築現場では基本的に、始業時間に全員が一斉に集合して重要事項を伝達してから解散し、各自が持ち場へ移動していた。そのため「待機時間があったり、自分に関係ない情報も多いために結局、自分に必要な伝達事項を忘れてしまうといった課題があった」とNTTドコモ 5G・IoTビジネス部 担当部長 仲田正一氏は指摘した。

NTTドコモ 5G・IoTビジネス部 担当部長 仲田正一氏

デジタル朝礼は、これらの情報をサイネージやスマホで伝達するもの。「時間と場所を分散しながら安全に関する周知などを徹底する。これにより、朝に現場に直行して重要事項を確認するといった働き方が可能になる」と仲田氏は説明した。

(2)安全への意識を高めあう働き方に向けて構想しているのは、「デジタルKY」である。建設現場の従業員は、事故・災害を防ぐために作業に潜む危険を予想し、指摘しあう危険予知活動(KY活動)を行っている。

ただ、「毎日同じことの繰り返しになりがちで、漫然化しやすい。安全意識を高めるため、過去の事故事例や蓄積した予防策などを、経験の浅い若手でも参照できる仕組みを提供したい」と仲田氏は解説した。

教育効果の高い危険予知活動(KY活動)をデジタル化する

(3)リアルタイムな工程間の連携による無駄のない働き方に関しては、現状では「工程の進捗を確認するのに電話したり、実際に現場を観たりすることが主流だ」(仲田氏)。そこで、「スマートフォンを介して、工程計画や進捗、資材搬送情報などを異なる職種間でリアルタイムに共有できるようにしたい」と坪内氏は語った。

さまざまな職人、職長、職員が工程進捗を共有できるようにする

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