KDDIなど、5G高度化に向けた基地局仮想化およびO-RAN準拠のマルチベンダー接続性に関する実証実験を実施

KDDIは2020年5月20日、NEC、ノキアソリューションズ&ネットワークス、富士通の各社と協力し、基地局仮想化およびO-RAN Alliance準拠のマルチベンダー接続性に関する実証実験を今年3月~9月に実施すると発表した。

実証実験のイメージ

従来は専用のハードウェアとソフトウェアが一体となった基地局設備を用いており、あらかじめ周波数などのリソースの割合や設置場所を決めて運用を行っていた。このため、あるエリアにおいてモバイルブロードバンド回線に多くのリソースを割り当てている中で「低遅延」サービスを展開したい場合、低遅延用のトラフィック処理が十分に行えない状況が生じるなど、ユーザーのニーズに合わせたネットワークを柔軟に提供することが困難といった課題があったという。

こうした課題に対し、例えば「低遅延」のような特定のサービスを利用したいユーザー向けにネットワークを分割し、リソースを配分する技術(ネットワークスライシング))の導入により、ユーザーの利用用途に合わせたサービスを提供することが可能になる。

このネットワークスライシングの導入を柔軟に行うには、基地局を汎用ハードウェアで構築し、その汎用ハードウェア上で様々なソフトウェアを動作させる仮想化技術への適用が必要とされる。そこで今回の実証実験では、基地局の仮想化に必要な要素技術の検証を実施する。

実証実験は2通り予定している。

①基地局仮想化の実用性の検証
5G基地局を構成する装置のうち、データ処理部であるCU (Central Unit)および無線信号処理部であるDU(Distributed Unit)に仮想化技術を適用し、仮想化された基地局の実用性を検証する。

基地局仮想化の検証イメージ

②O-RAN準拠のマルチベンダー接続性の検証
これまで基地局を構成する装置同士を接続する際の仕様はベンダーごとに異なっていた。このため複数ベンダーの装置を組み合わせて基地局を構成した場合、動作しないなどの問題が生じることから、一般的には同じベンダーの基地局装置同士が接続されていた。今回の実証実験では、O-RAN Allianceで規定されるオープンなインターフェースを活用し、DUと無線装置であるRU (Radio Unit)間の基地局のフロントホールにおいて、様々なベンダーの機器同士の相互接続の検証を行う。

マルチベンダー接続性の検証イメージ

KDDIは、実証実験で培った技術を基に、将来的に導入を行う5Gのスタンドアローン構成において、ネットワークの柔軟性をさらに高め、通信ネットワーク全体でのネットワークスライシングへの対応を目指す。これにより、4K/8Kといった高精細映像の高速データ伝送や産業機械の遠隔操作、交通分野における自動運転など、様々な分野で5Gの特長である「超高速」「多数同時接続」「低遅延」を最大限に生かしたネットワークの提供が可能になるとしている。

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