IaaSとモバイルデバイス管理が可能に――HP、通信事業者向けクラウド基盤を強化

日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2010年10月12日、通信事業者向けソリューション「HP CSE for CSP」(HP Cloud Services Enablement for Communications Service Providers)に新たなポートフォリオを追加した。

HP CSE for CSPは、通信事業者が中堅・中小企業向けにクラウドサービスを提供する際に必要となるソフトウェアなどで構成される。国内では今年3月に発表されており、そのときには、HP CSE for CSPの中核を担う統一プラットフォームの「HP AP for SaaS」(HP Aggregation Platform for SaaS)と、ユニファイドコミュニケーションやコンタクトセンターなどのクラウド提供を可能にする「HP CaaS」(HP Communication as a Service)がリリースされている。

米HP 通信メディアソリューションズ開発統括本部 CMSプラクティス本部 本部長のオッタビオ・カルパレッリ氏(左)と、日本HP 通信・メディアソリューションズ統括本部 シニアエグゼクティブコンサルタントの伊藤亮三氏
米HP 通信・メディアソリューションズ開発統括本部 CMSプラクティス本部 本部長のオッタビオ・カルパレッリ氏(左)と、日本HP 通信・メディアソリューションズ統括本部 シニアエグゼクティブコンサルタントの伊藤亮三氏

HP CSE for CSPの特徴は大きく2点ある。1つめは、サードパーティ製を含む様々なクラウドサービスを単一のWebポータル上にアグリゲートして販売できることだ。いわゆるマーケットプレイスの機能を有しており、複数サービスを組み合わせたバンドル提供も可能になっている。そのため、通信事業者はパートナーと協力することで、クラウドサービスがワンストップショッピングできるハブを目指せる。2つめは、「現在提供されているクラウドサービスは、SIやコンサルティングが必要な大企業向けが多い」(同社通信・メディアソリューションズ統括本部シニアエグゼクティブコンサルタントの伊藤亮三氏)が、HP CSE for CSPを活用すれば、ユーザー企業はサービス申込やサービス中止など一連の作業をWebポータル上で行えることだ。伊藤氏は、中小企業向けのクラウドビジネスではこの2点が重要になると説明した。

さて今回、HP CSE for CSPに追加されたのは次の2つだ。まずは「HP CSE for IaaS」(HP Cloud Services Enablement for Infrastructure as a Service)である。これは、通信事業者のIaaS提供を支援するソリューション。CPUリソースやストレージなどのITインフラをクラウド提供するうえで必要なプロビジョニングなどの運用手順を自動化できるという。

HP CSE for IaaS

IaaS提供のライフサイクル全体を支援するHP CSE for IaaS

もう1つは、「HP CSE for DMaaS」(HP Cloud Services Enablement for Device Management as a Service)。携帯電話やスマートフォン、ノートPCなどのモバイルデバイスを管理する機能をクラウド形式で提供することが可能になるという。例えば、デバイスのロックやコンテンツの消去、ファームウェアの遠隔更新などが行える。

HP CSE for DMaaS
さまざまな管理機能をクラウド形式で提供できるHP CSE for DMaaS

HP CSE for IaaSは仏SFR、HP CSE for DMaaSはスペインのテレフォニカがすでに導入しているとのこと。

米HP通信・メディアソリューションズ開発統括本部CMSプラクティス本部長のオッタビオ・カルパレッリ氏によれば、同社ではさらにHP CSE for CSPのポートフォリオを拡充していく計画で、ERPやCRMなどのクラウド提供を可能にするソリューションを準備しているという。

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