全国の電力会社のスマートメーターに採用されている無線通信規格「Wi-SUN」。今後は電気だけではなく、さらにガスのスマートメーターでも広く利用されていくことになりそうだ。
ガス会社やデバイスメーカーなどで構成されるテレメータリング推進協議会(JUTA)で制定したテレメータリング用の無線通信規格「Uバスエア」のレイヤー(1PHY層)、レイヤー2(MAC層)が、Wi-SUNのJUTAプロファイルとして採用されたからだ。
Wi-SUNアライアンスとJUTAは5月28日、「Wi-SUN JUTA」向けの認証プログラムを開始した。「JUTAとWi-SUNアライアンスは、相互接続性の確保を目的とした認証プログラムを作るため、2012年から一緒に取り組み、ついに今回完成した」とWi-SUNアライアンス会長兼CEOのフィル・ビーチャー氏は喜びを露にする。
(左から)京都大学 教授 原田博司氏、Wi-SUNアライアンス 会長兼CEOのフィル・ビーチャー氏、東京ガス 基盤技術部 応用技術研究所 無線・通信技術チーム 遠藤秀樹氏、テレメータリング推進協議会(JUTA) 広報・普及担当理事 小野博雄氏、同専務理事 土屋十萬紀氏、同事務局長 村上哲氏 |
Wi-SUN採用でコストダウンUバスエアは、メーターや各種センサー、ガス機器などを接続するための有線通信インターフェース「Uバス」の無線版である。
「4年前からUバスエアの端末は出ているが、Wi-SUNアライアンスの認証プログラムが確立したことで、ワンステップ上がることになった。公な形ではないが、今までもメーカー同士が話し合い、共通の仕様で開発してきたため、一応は相互接続性があった。しかし、これからはWi-SUNアライアンスの“お墨付き”で相互接続性を確保できる」とJUTA 広報・普及担当理事の小野博雄氏は語る。
東京ガスのUバス対応ガスメーターと、ローム、ルネサス エレクトロニクス、アドソル日進のWi-SUN JUTA対応製品 |
国際標準規格であるWi-SUNによって相互接続性を担保することのメリットの1つは、市場の活性化だ。「いろいろなベンダーが参入しやすくなることで、マルチベンダー化が進み、安定供給やコストダウンにつながることを期待している」と東京ガスの遠藤秀樹氏は話す。JUTAの小野氏によると、約750万世帯が確認されている集中監視世帯のうち、ガスメーターが無線化されているのは約400万世帯。現状は400MHz帯の特定小電力無線が採用されている。Wi-SUN JUTAの認証プログラム開始を追い風に、ガスメーターの無線遠隔検針のさらなる普及を図っていく考えだ。