<シリーズ>キャリアネットワークのメガトレンド基地局は持ち運ぶ時代へ――ビニールテープ型からマンホール型、バス停型まで

トラフィックの急増で進むスモールセル化。ミリ波を使う5Gではより多くの基地局で細かくエリアをカバーする必要があるが、困ったのは設置場所だ。そこで、景観を損ねずにエリア化できる基地局が増えている。

街中のビルを見上げたとき、屋上に携帯電話の基地局アンテナが立っている――。今後はそうした光景が変化していくかもしれない。

昨今、基地局やアンテナが多様化している。トラフィックが年々増大し続けるなか、高速なモバイル通信サービスを安定的に提供するにはスモールセル化を進めていく必要があるが、基地局を設置する場所の確保が難しくなっているためだ。

「設置可能なスペースが限られているうえ、各社とも目を付ける場所が同じで競争が激しくなっている」とNTTドコモ ネットワーク部 技術推進担当課長の松尾充倫氏は現状を説明する。特に観光地や景勝地ではアンテナ設置に適した建物がなく、景観を損ねずに通信設備を設置することが困難になっているという。

そこで、従来とは異なる、新しい設置場所を開拓するため、基地局/アンテナ側での工夫が進んでいるのだ。技術革新によって集積度が高まり、基地局の小型化が可能になったことも背景にはある。

NTTドコモは昨年4月、マンホール内に基地局を設置した「マンホール型基地局」の試作機を開発したと発表した。アンテナが地中10cmの深さに設置されており、無線装置への光回線の接続や電源の確保は、地下に埋設した配管により地上から引き込んで行う。サービスエリアは半径90m程度だが、マンホール上で人が立っても身体に影響を与えない範囲に電波の強度を調整しているという。

NTTドコモの「マンホール型基地局」。 アンテナの設置に適した建物がない場所にも使うことが可能だ
NTTドコモの「マンホール型基地局」。
アンテナの設置に適した建物がない場所にも使うことが可能だ

街路灯の基地局化も進んでいる。例えば、「Zero Site(ゼロサイト)」は、エリクソンがフィリップスと共同開発した基地局収容型LED街路灯だ。

アンテナや無線機、電源ユニット、バッテリーを内部に収納しており、街路灯としてだけでなく、LTE基地局およびWi-Fiアクセスポイントとしての役割を果たす。「街路灯の電源容量は限られているが、LEDは消費電力が少ないので基地局にも利用できる」とエリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)の藤岡雅宣氏は語る。ゼロサイトは、米国や欧州各地で導入されているほか、日本でも広島県福山市で実証実験が行われているという。

エリクソンは英国ではバス停設置基地局も展開している。停留所の屋根の上に無線ユニットを収納した小型の箱が設置されており、5Wの出力で半径数百mをカバーすることが可能だ。

月刊テレコミュニケーション2019年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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