「プライベートLTE」が日本で利用可能に――地域BWA空白地域を自営用に解放

地域BWAバンドを自営無線で利用できるようにする「自営BWA」の検討が始まった。日本初の本格的なプライベートLTEの実現手段となるものだが、運用には一定の制約も伴いそうだ。

安定した高速データ通信が可能なLTEを自営無線として活用する「プライベートLTE」が、日本でも本格的に利用できるようになる。

地域BWA(広帯域移動無線アクセス)に割り当てられている2.5GHz帯20MHz幅の帯域を、BWAの主力システムであるLTE(BWAとしての規格名は「AXGP/WiMAX R2.1 AE」)を用いた自営無線でも利用できるようにする検討が進められているのだ。

「自営BWA」と呼ばれるこの新たな無線システムの制度検討を行っているのは、5Gを自営網として利用できるようにする「ローカル5G」について検討する情報通信審議会(情通審)の「ローカル5G検討作業班」。総務省は、自営BWAをローカル5Gと併せて制度化する考えで、2020年には利用可能になる見込みだ。作業班の中には早期制度化を求める声もあり、ローカル5Gが先行導入される28GHz帯100MHz幅と共に、2019年中に利用できるようになる可能性もある。

ローカル5Gと一体運用総務省ではローカル5G検討作業班で自営BWAの検討を行う理由として、5Gで利用される高い周波数帯、とりわけ28GHz帯は電波の到達距離が短く、単独で面的なエリアを構築することが難しいことを挙げる。より電波が飛びやすい2.5GHz帯のBWA(LTE)とローカル5Gを組み合わせることで、実用的な自営5G網が構築できると考えているのだ。

また、もう1つの大きな目的となっているのが、地域BWA用周波数の有効活用だ。

地方のデジタルデバイド解消などを目的に2007年に導入された地域BWAだが、これまでのところ、それほど普及が進んでいない。

2018年11月1日時点で免許を取得している地域BWA事業者は66社・団体。事業エリアとなっている自治体は12月現在で約200で、全国約1700ある市区町村の10%強にとどまる。

事業化に際して提供エリアの自治体と協定を締結する必要があること、参入できるのは市区町村毎に1社に限定されることなど、事業参入のハードルが高いことも、利用が広がらない要因の1つといわれている。総務省にとって、地域BWAの活性化は喫緊の課題なのだ。

月刊テレコミュニケーション2019年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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