「働き方改革は、残業削減というキーワードで語られることが多い。しかし、その本来の目的は企業価値の向上。当社であれば、新しいサービスや企画がどんどん生み出されるようにしていくことだと考えている。そのためには社員の力を最大限に引き出し、その力をつなぎ合わせることができる環境が重要だ」
Web電話帳市場で国内シェアトップ、90万ユーザーが利用する「連絡とれるくん」を展開するPhone Appliの石原洋介代表取締役社長は、同社が進める働き方改革の狙いをこう説明した。
Phone Appli 代表取締役社長 石原洋介氏
社員数127名のベンチャー企業であるPhone Appliは昨年度、成長率162%を記録した。この高い伸びを支えているのが、「オフィス環境」「IT」「人事」を組み合わせた働き方改革だという。
「社員が力を発揮して働ける」環境整備の具体策として、まず石原氏が紹介したのが、2018年2月に移転した新本社オフィス「CaMP」だ。CaMPという名称は「Collaboration and Meeting Place」の頭文字から付けられている。
CaMPの全体図。2018年2月の開設以来、800社・2200名が見学に訪れている
273坪の新オフィスのコンセプトは「自然の中で人が集まる場所」。仕切りのないオープンな空間で、視野の25%に緑が配置されている。
フリーアドレスの執務スペースはいくつかのエリアに分かれているが、CaMPのコンセプトを体現しているといえるのが、キャンプ用の椅子とテーブルが置かれた「パーク」と呼ばれるスペースだ。社員はここでリラックスしてアイデアを練ったり、簡単な作業や打ち合わせを行うことができる。隣には打ち合わせスペースとして使われる大きなテントも置かれている。CaMPの構築に際してPhone Appliは、アウトドアとテクノロジーで働き方を変革する、スノーピークビジネスソリューションズとタッグを組んだ。
「どこよりも気持ちよく働ける場所がオフィスのあるべき姿。これを追求したのがCaMP」と石原氏は説明する。
このほか、共同作業用の「ファミレス」と呼ばれる4人掛けテーブル席や、集中して作業をするための個別席「パーソナルワーク」など、多様な作業スペースが設けられている。
「その時々で、自分の力を発揮しやすい環境を自分で選んで働けるというのがPhone Appliが目指す働き方のファーストステップ。そのための環境と権利を社員に与えている」と石原氏は述べる。
集中して作業したい場合などには、在宅勤務を選ぶこともできる。会議室には様々なビデオ・Web会議システムも整備されており、自宅から会議に参加することも可能だ。