「プライベートLTEが今すぐ使える」、LTE over IPが来年1月に商用化へ

プライベートLTEを仮想的に実現できる「LTE over IP」技術を開発するLTE-Xは2018年9月27日、来年1月からLTE over IPの商用展開を本格化させると明らかにした。すでに水面下では、公共安全、病院、学校など、様々な案件が進んでいるという。

Wi-FiやイーサネットなどのIPネットワーク上で、仮想的にLTEを実現する「LTE over IP」――。ワイヤレスゲートの子会社、LTE-Xが同技術を2016年秋に発表し、業界の注目を集めてから2年が経過した。

「その後はほとんど地下に潜っており、『何をしているのだろう』と思われていた方もいるだろう。しかし、いよいよ商用サービスをスタートできる段階になったので、事業戦略説明会を開くことにした」

LTE-X 代表取締役CEOの池田武弘氏は、9月27日に都内で開いた説明会でこう述べた。来年1月から商用展開を本格開始するという。

LTEとIPのいいとこどりが、LTE over IPだという
LTEとIPのいいとこどりが、LTE over IPだという

LTE over IPは、LTE-Xが開発するLTE仮想化技術だ。Wi-Fiやイーサネットといった既存のIPネットワーク上で、プライベートなLTEネットワークを仮想的に構築できる。ただ、こう説明すると、無線伝送技術としてのLTEを仮想的に実現する技術のようにも聞こえるが、そうではない。

「LTEには、SIMによる端末認証や暗号化、QoSも含まれる」

池田氏によれば、携帯電話業界が育んできた「世界最高のセキュリティプロトコル群」による仮想プライベートネットワークを、汎用IPネットワーク上で実現するのがLTE over IPである。

なお、LTE over Wi-FiやLTE over Ethernetだけではなく、公衆LTE上にプライベートなLTE網を仮想的に構築するLTE over LTEも可能だ。

LTEのSIMによる端末認証や暗号化などを、汎用IPネットワーク上で実現するのがLTE over IP
LTEのSIMによる端末認証や暗号化などを、汎用IPネットワーク上で実現するのがLTE over IP

LTE over IPの実現の仕組みとは?前述の通り、LTE-Xは来年1月からLTE over IPの商用サービスをスタートさせるが、その実現の仕組みは次の通りだ。

まずPCやスマートフォンなどの端末側には、エージェントソフトウェアをインストールする。LTE over IPはSIM情報を利用するが、非SIM端末であっても、エージェントを組み込むことによりソフトウェアでSIMの機能を実現できる。現在のところ、WindowsおよびAndroidに対応しているほか、各種IoT端末に組み込めるようにソースコードも提供する。

LTE over IPの実現の仕組み
LTE over IPの実現の仕組み

LTEの基地局にあたるeNodeBに関しては、各拠点にオンプレミスで設置する形に加えて、クラウド上に用意されたeNodeBの機能を使うこともできる。物理ネットワークについては既存IPネットワークを用いるため、eNodeBといっても電波を吹くわけではない。

LTEのコアネットワークであるEPCの機能についてもクラウド上に用意しており、要望に応じてオンプレミスでの導入も可能だ。

「守りたい端末に、我々のソフトウェアを入れれば、一気にセキュリティレベルが上がってくる。既存のネットワークの設定変更も必要なく、実際にお客さんにしていただく作業はとてもシンプル。『携帯電話技術の民主化により、インターネットを安全な空間に』というのがLTE-Xの企業理念だ」と池田氏はLTE over IPのメリットを説明した。

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