クラウドの“要”はネットワーク
さて、前述した通り「C&Cオフィス」の要諦は、SaaSに当たるUNIVERGE Liveの提供そのものではなく、それを支える回線サービス、オンプレミス(設備・ソフトウェアなどを導入し自社運用する)型のソリューションとの連携も含めたトータル提案にある。執行役員 兼 企業ソリューション事業本部長の保坂岳深氏は、「PCとデータセンターがつながって初めてクラウドが可能になる。それをつなげるネットワークこそがポイント」と話した。
「クラウドサービスでは、ネットワークこそがポイントになる」と語る執行役員 兼 企業ソリューション事業本部長の保坂岳深氏 |
まず、ネットワークサービスについては、ユーザー企業のニーズに応じた最適なネットワークをマルチキャリアで短期間に構築する「UNIVERGE ネットワークサービス」を提供する。従来から提供してきたマルチキャリアのネットワークサービスをメニュー化し、より使いやすくする。販売価格は月額2万4600円からとなる。
このようにクラウドサービスと、ネットワークサービスを一体として提供するのに加え、「非クラウド」の環境もサポートする。クラウドへの関心は日々高まっており、実際に導入・検討を進める企業も増えているが、さりとて、オフィスのICTソリューションがすべてクラウドに移行するというものでもない。また、オンプレミスとクラウドを使い分け、さらに両社を連携させたいという要望も当然出てくるはずだ。そうしたニーズに応えるものとして、「UNIVERGE オフィスソリューションパック」の提供を開始する。
クラウドを利用するのに最適なネットワークを提供する「UNIVERGE ネットワークサービス」(クリックして拡大) | 目的別にパッケージで導入できる「UNIVERGEオフィスソリューション」(クリックして拡大) |
これは、ワークスタイル革新を実現する、リモートアクセスやペーパーレスなどのソリューションをパッケージ化して仮想アプライアンスとして販売するもので、UNIVERGE Liveのサービスとの連携が可能な形で提供される。例えば、音声コミュニケーション(PBX)の機能は自社設備として持ち、メールやグループウェア、Web会議の機能はサービスで利用し、両社を連携させてユニファイドコミュニケーションを実現するといった導入形態も可能となろう。UNIVERGE オフィスソリューションパックは、2010年10月から順次提供を始める予定だ。
クラウドサービスを販売するパートナーに管理ポータルなどを提供(クリックして拡大) | 販売パートナー向けポータル(顧客企業のサービス管理)の画面例(クリックして拡大) |
保坂氏は、今回発表した3つのサービス、ソリューションにより、これまで大手企業中心に進んできたUNIVERGEの市場を、中堅・中小企業にも広げていきたい考えだ。そのためには、単に先進的なソリューションを提案するだけでなく、「お客様の机の上まで面倒をみる、というくらいに(ユーザー企業が)ICTを利活用する環境を整えなければならない」と話す。そこで重要になるのが、ユーザー企業により近い立場にいる販売パートナーとの連携だ。
この連携を強化するため、販売パートナーには、サービスを販売するためのポータル機能を提供する。顧客企業のサービス利用状況を効率的に管理するためのSaaS基盤などを用意し、また、アプリケーションパートナーのサービスとUNIVERGE Live等との連携も行う。保坂氏は「お客様の『業務の現場』を良く知っているパートナーと一緒に、多様なニーズに柔軟に対応していきたい」と話し、新たにクラウドビジネスに取り組む販売パートナーの支援にも注力していくという。