交通プラットフォームを手掛ける中国・滴滴出行(DiDi Chuxing、以下DiDi)とソフトバンクは2018年7月19日、あらゆるタクシー事業者が利用できるオープンなタクシー配車プラットフォームを国内で提供すると発表した。
(左から)滴滴出行Vice PresidentのStephen Zhu氏、ソフトバンク代表取締役社長の宮内謙氏、滴滴出行PresidentのJean Liu氏、ソフトバンク常務執行役員の菅野圭吾氏 |
6月に合弁会社「DiDiモビリティジャパン」を設立、2018年秋から大阪を皮切りに京都、福岡、沖縄、東京など主要都市でトライアルを順次開始する。
DiDiモビリティジャパンのタクシー配車プラットフォームは、乗客用およびドライバー用アプリ、管理コンソールで構成される。
DiDiのタクシー配車プラットフォームは、3つのサービスで構成される |
乗客は、自分のスマートフォンに専用アプリをダウンロードすると、全国でタクシーの配車を利用できる。ドライバーの到着予定時刻を確認したり、乗車中に家族などに現在地を通知することが可能。支払いは、アプリに登録したクレジットカードで行う。
ドライバー用アプリでは、乗客が多くいるエリアを地図上で表示したヒートマップ機能が提供される。DiDiのAI(人工知能)技術やデータ分析技術を活用し、15分後の需要を85%、目的地までの到着時間の予測を80%と、それぞれ高い精度で予測する。
また、タクシー会社に提供される管理コンソールは、配車状況やドライバーの稼働状況、日々の売上などの「見える化」により、配車を効率化することが可能。乗客からのドライバーの評価も確認できるので、サービス向上に役立てられる。
ソフトバンク代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏は「タクシー会社も乗客もWin-Winの関係になることができる配車サービス」と述べた。
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AI(人工知能)を活用し、乗客とドライバー(タクシー会社)がWin-Winの関係になる配車サービスを目指す |
DiDiのタクシー配車プラットフォームは中国では約500社のタクシー会社と提携し、200万人のドライバーに利用されている。DiDi プレジデントのJean Liu氏は「ドライバーには無料でプラットフォームを提供している。テクノロジーは破壊的ではなく、協調的であるべき」と語った。ドライバーの高齢化や交通の不便さなど地方の課題解決にもつなげたいという。
日本のタクシー業界は、ドライバーの運転技術のレベルが高く、車内環境も快適で、市場規模は1.5兆円と世界第2位の規模とされる。その一方、市場規模は年々縮小しており、実車率も42%と他国と比べて低い。DiDiの導入により、実車率を中国並みの60%まで引き上げることを目標に掲げる。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは約4000万人の訪日外国人が訪れると見込まれているが、その半数の約2000万人が中華圏からの観光客になるとの予測もある。
DiDiはこうした状況も視野に入れ、中国版の利用者は日本国内での支払い方法にAlipayかWeChat Payを選べるほか、アプリでは日本語と中国語の自動翻訳機能も用意される。また、最初のトライアルに大阪を選んだのも、中華圏からの旅行客が多いことを考慮したという。