ドローンで人手不足を解消――センシンロボティクスが事業戦略

「ロボティクス(ロボット工学)によって圧倒的な効率化や安全性の向上を実現し、日本の社会が直面している若年労働人口の減少などの課題を解決。日本で培ったソリューションを海外に展開していく」

産業向けのドローンソリューションを展開するセンシンロボティクスは2018年7月4日、事業戦略発表会を都内で開催。出村太晋社長は、ドローンによる業務自動化を容易に実現できるという統合プラットフォーム「FLIGHT CORE(フライトコア)」の導入やサービスの海外展開などの新施策を明らかにした。

テレビ会議システムなどを手がけるブイキューブの子会社、ブイキューブロボティクスとして2015年に設立されたセンシンロボティクスは、今年6月にベンチャーキャピタルから新たに約12億円の出資を受け、7月1日付けで現社名への変更を行った。

海外展開に向け2020年の上場を目指すセンシンロボティクスは、ドローンの業務活用で必要となる機能・サービスをコンポーネントとして用意。これらを組み合わせた用途別の業務自動化ソリューションを、初期費用+月額料金という料金体系で企業・自治体に提供している。

コンポーネントは、(1)自動離着陸・自動充電・データリンク機能を備えた「ドローン基地(DRONEBOX)」、(2)ドローンで撮影した映像を、遠隔/複数拠点間でリアルタイム共有してコミュニケーションをとれる「リアルタイム映像コミュニケーションサービス」、(3)機械学習を活用した画像認識/解析による用途別の異常検知アプリケーションなど、多岐にわたる。

主なターゲットは、ドローンを利用することで大きな効果が期待できる「設備点検」「災害対応 (防災減災)」「警備監視」の3つの業務だ。今年2月にはドローンを用いた業務自動化パッケージの第1弾として、太陽光発電施設点検業務を対象とする「SOLAR CHECK」の提供を開始した。

SOLAR CHECKは、点検したい太陽光発電パネルの設置エリアをPCの画面上で指示するだけで、航路を自動的に設定。ドローンがそのエリアを撮影し、その映像から異常のあるパネルが自動的に検出される。「こうなるとユーザーは何もする必要がない」と出村社長は語った。人が目視で行っていた作業をドローンで代替することにより、深刻な労働力不足への対応が可能になるという。

さらに、出村社長は「太陽光発電所は海外の方が多い。このサービスを日本以外でも展開するために英語化や機能追加を進めている」と述べた。

センシンロボティクス 代表取締役社長 出村太晋氏
センシンロボティクス 代表取締役社長 出村太晋氏

新たに導入する業務自動化の新プラットフォームFLIGHT COREは、「マルチドローン/ネットワーク対応地上管制システム」「業務実績管理システム」「データ連携システム」の3つから構成され、ドローンを活用した業務自動化ソリューションの開発を大幅に効率化できるという。

センシンロボティクスでは、FLIGHT CORE対応パッケージとして、新たに「鉄塔点検アプリケーション」「警備監視アプリケーション」の開発を進めている。

さらに他にも多様な業務自動化パッケージを品揃えしていく予定。ドローンだけでなく、多彩なロボットを活用したソリューションを開発していくという。「当社はロボティクスの会社であり、ドローンの会社ではない」と出村社長は繰り返し強調した。また、海外展開も図る。

センシンロボティクスでは、海外や他のロボティクス分野への展開のため、2020年をめどに株式を公開する計画だ。

中長期的なセンシンロボティックスの事業の方向性
中長期的なセンシンロボティックスの事業の方向性

セルラードローンの実用化は遠くないセンシンロボティクスが実用化に意欲的に取り組んでいる技術に、LTE回線を介してドローンからの映像の収集やドローンの遠隔操作を行う「セルラードローン」がある。

2018年3月には仙台市、NTTドコモと共同で「ドローンを活用した津波避難広報の実証実験」を実施。情報把握から避難誘導までの自動運用を行った。

この実験では、「携帯電話基地局間でハンドオーバーする形で7kmの長距離通信に初めて成功した」という。

出村社長は「現状は実験段階だが、そう遠くない将来に、実用化されるのではないかと考えている」と述べ、ある通信事業者からは「1年、1年半後に実用化されることを想定して実験しましょう」という話も出ていると明かした。

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