クラウド型コラボツールの衝撃――グループウェア+リアルタイムコミュニケーションをSaaSで提供(前編)

グループウェアにリアルタイムコミュニケーション機能が加わり、クラウド型コラボレーションツールとして提供され始めた。そのインパクトをレポートする。

企業の投資意欲は高い

そのインパクトに触れる前に、コラボレーション/グループウェアに対する企業の投資意欲を数字で見ておこう。ITRがアプリケーション分野別に調査した企業の注目度を計った「IT投資動向調査2010」によれば、コラボレーション/グループウェアは6位という位置(図表1)。この調査は2009年秋に行われており、ITRでは2010年はコラボレーション/グループウェアに対する企業の注力度が上昇すると見ている。特に注力度の高い業種は製造業。また、事業が1000人以上の大規模企業の導入意欲が高いという。

図表1 コラボレーション/グループウェアに対する投資意欲
図表1 コラボレーション/グループウェアに対する投資意欲

第1位の財務会計を別にすると、5番目までは販売力、営業力という企業の競争力を直接強化するためのソフト。コラボレーション/グループウェアはそれに続くポジションとなる。企業の期待は大きいといえるだろう。その理由は、他のジャンルのITツールに比べて投資額が比較的少なくて済むこと。同時に、コスト削減を図りたい企業の思惑もある。「全国に支店や営業所・工場をもつ企業がWeb会議を使って出張費や移動費を減らしたいと考えている」とITRの舘野氏は語る。

グループウェアのクラウド化を企業はどう捉えているのだろうか。マイクロソフトの磯貝直之氏(インフォメーションンワーカービジネス本部ビジネスオンラインサービスグループ部長)は、「『クラウド型で』と指名する顧客が増えている」と語る。クラウド型コラボレーションツールに対する企業の視線は熱い。

日本IBMの行木陽子氏(ソーシャルウェアエバンジェリスト)も「SaaS形式で取引先とコラボレーションしたいという引き合いが多い」と話す。典型が進出先のオフィスとのコミュニケーションだ。海外に設けたばかりのオフィススタッフは少人数。企業にとって、現地にサーバーを立ててVPNで本社と結ぶより、クラウド型コラボレーションツールを採用したほうが立ち上げスピードとコストの点で優位だ。

ユーザー調査もクラウド型へのシフトを裏付けている。ITmediaリサーチインタラクティブ/ITRが調査した「コラボレーション/コミュニケーションツールの利用形態(現在および今後)」を見てほしい(図表2)。自社サーバー利用というオンプレミスの比率は現在7割を占める。だが、将来となると、その比率は4割弱に減少し、社外サービスを利用したいとする比率が4分の1強を占める。コラボレーションツールはクラウドへとシフトしていくことは確かだろう。

図表2 コラボレーション/コミュニケーションツールの利用形態(現在および今後)
図表2 コラボレーション/コミュニケーションツールの利用形態(現在および今後)

クラウド型コラボツールの衝撃(後編)

月刊テレコミュニケーション2010年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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