DX活用で働き方改革・第2幕へ――ビデオ、AI/IoTをオフィスに埋め込む

ICT活用や制限なしの全社テレワークなど最先端の働き方を追求してきたNECネッツエスアイが、働き方改革の第2ステージを始める。デジタル技術をフル活用した“未来のオフィス”の片鱗を覗いてみよう。

1日に5社以上、多い日は10社――。

働き方改革を進める企業が連日、見学に訪れるオフィスがある。2月5日にオープンしたNECネッツエスアイ(NESIC)本社の新オフィスだ。

NECネッツエスアイの新オフィス
NECネッツエスアイの新オフィス。オフィスはフリーアドレス制だが、
社員は基本的にチームを意識して仕事をする場所を決めるという

営業部門とSE部門のフロアを全面リニューアルした目的は、部門の枠を超えたチームワークを促進し、働き方のプロセスを抜本的に見直すことだ。営業統括本部マーケティング本部・本部長代理の吉田和友氏は「デジタルトランスフォーメーション(DX)技術の活用によって生産性を徹底的に追求し、合わせてイノベーションを促す。2018年度から働き方改革の第2ステージとして、そこにチャレンジする」と話す。

2007年から、紙を使わない「ノーペーパーワーク」と、リモートアクセスやビデオ会議等を使って距離の制約なしに働く「ノーディスタンスワーク」を進めてきたNESICは、その集大成として昨年7月、働く場所・時間の制約が一切ないテレワーク制度を全社員(約5000人)に導入した。これをベースに進める「次の一歩」はどのようなものになるのか。

営業統括本部 マーケティング本部 本部長代理の吉田和友氏(左)と、エンパワードオフィス事業統括本部 本部長の西川明宏氏
営業統括本部 マーケティング本部 本部長代理の吉田和友氏(左)と、
エンパワードオフィス事業統括本部 本部長の西川明宏氏

モニターだらけの新オフィスオフィスでまず目を引くのが、あちこちに配置されたモニターだ。

8人ほどが座れる島型デスクごとに1台あるほか、いたるところにモニターが置かれている。それらはすべて、離れた場所で働くメンバーとコミュニケーションするための“窓”になる。

NESIC社員は自宅や自社・グループ会社の拠点、全国約80カ所の契約サテライトオフィスで、回数の制限なくテレワーク勤務ができる。そうして場所に囚われずに働く社員がチームを構成し、円滑に情報共有と意思決定が行えるよう、全社員にWeb会議サービス「Zoom」のライセンスを配布。どこにいても、必要なら即座に“窓”に顔を出し、資料も共有しながら会話できる。

島ごとに設置されたモニターは、在宅勤務・外出中の社員とのコミュニケーションにも用いる
島ごとに設置されたモニターは、在宅勤務・外出中の社員とのコミュニケーションにも用いる

また、エンパワードオフィス事業統括本部の西川明宏本部長の席近くに設置された巨大画面(左上写真)には、別フロア・拠点の様子が映し出されている。Zoomを“つなぎっぱなし”にして、常に様子がわかるようにしているのだ。用があれば「◯◯さん、ちょっと」と声をかけて、そのまま立ち話も始められる。

大型モニターでビデオ会議を常時接続し、離れた拠点・フロア同士をつなぐ。ひと目で状況がわかり、相手を気軽に呼んで話ができる状況を作ることで、組織の壁も距離も超えたチームワークを促進する狙いだ
大型モニターでビデオ会議を常時接続し、離れた拠点・フロア同士をつなぐ。ひと目で状況がわかり、
相手を気軽に呼んで話ができる状況を作ることで、組織の壁も距離も超えたチームワークを促進する狙いだ

どのモニターも、日時と参加者を決めて会議を行うというよりは、「必要な時に呼ぶ」使い方が前提だ。「報告や意思決定のためにわざわざ会議をするよりも、必要な人をすぐにつかまえて聞き、決めてしまえばいい」(吉田氏)という発想である。西川氏も「いままでのオフィス改革は『中でどう働くか』だったが、今回は会社の外、組織の外とどうつながるか。だから、いたるところにZoomでつながる環境を整えている」と話す。

この発想は、営業・SE社員が赴く現場にも、そして顧客先にまで散りばめられている。

月刊テレコミュニケーション2018年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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