スマートスピーカー市場が過熱している。
テクノロジー専門の調査会社米Canalysによれば、2017年の出荷台数は3000万台を超え、2018年には世界で5630万台が出荷される見込みだ。勢いはVRやウェアラブル端末を上回る。国内でも昨年末から「Amazon Echo」「Google Home」、LINEの「Clova WAVE」等が相次ぎ発売され、スマートフォン登場時を彷彿させる盛り上がりを見せている。
これを受けて、スマートスピーカーを仕事に使おうとする動きも出てきた。特に注目されるのが、昨年11月30日に米Amazon Web Servicesが発表した「Alexa for Business」だ。音声AIアシスタント「Alexa」のビジネス版で、企業で必要となるデバイス管理機能を備えており、他社のクラウドサービスとAPIで連携する手段も用意している。「Alexa Skill Kit」を使ってユーザーがプライベートスキルを開発することも可能だ。
Alexa for Businessの日本語版の提供開始時期がまだ発表されていないなか、国産勢も動き出している。
SIerのTISはエーアイと共同開発したスマートスピーカー「AISonare」の金融機関向け提供で凸版印刷と協業。窓口案内、問い合わせ・受付業務に特化したサービスとして提供する計画だ。東京大学発ベンチャーのフェアリーデバイセズも業務用のスマートスピーカー「Tumbler」を開発・提供している。
スマートスピーカー市場をリードするAmazon EchoとGoogle Home。
オフィスでも様々な用途で活用が進みそうだ
オフィスで何ができるかビジネス現場では、手がふさがっている場面や、PC/スマートフォンが手元にない状況での利用が想定される。業務システムと会話して情報を聞き出したり、各種デバイス・設備を操作する。例えば、スケジュールを確認する、会議室の空き状況を聞き予約を入れる、電話をかけるなどだ。
連携が広がれば、一声でオフィスの“支度”をさせることも可能だ。会議室で「Alexa、会議の準備をして」と声を掛けるだけで照明と空調が付き、ビデオ会議が起動して相手を呼び出せば、準備の手間はなくなる。
現段階で「できること」は限られているが、それはスマートフォンの登場時も同じだった。その後、タッチ操作という馴染みやすいインターフェースがビジネス現場に浸透したのと同じ道を「音声インターフェース」も辿ることは容易に想像できる。音声操作には、利用者に高度なリテラシーを要求せず、両手がふさがっていても使えるという明確な利点があるからだ。