ブロックチェーンにIoT担当者が注目すべき理由「IoTデータの真正性を保証」

仮想通貨のビットコインで話題のブロックチェーン技術だが、その適用範囲は金融に留まらない。シェアリングサービス、トレーサビリティ、宅配など、幅広いIoTソリューションでの活用が検討されている。

「2018年に注目すべき戦略的テクノロジーTOP10」の1つとして、ブロックチェーンをガートナーは挙げる。

ブロックチェーンは仮想通貨のビットコインを支える基盤技術として広く知られている。だが、これからは仮想通貨のみならず、行政、医療、製造、サプライチェーン、シェアリングエコノミーなど、多様なシステムで活用され得る有望なテクノロジーだというのだ。

「ブロックチェーンは仮想通貨のインフラから、デジタルトランスフォーメーションのプラットフォームへ進化しつつある」とガートナーは説明する。

ブロックチェーンに対する企業の関心は確実に高まっている。「ブロックチェーンをテーマにカンファレンスを開催すると、すぐに300社ほど集まる。『これは乗り遅れると大変だ』という感じになっている」と、日本IBMの紫関昭光氏は語る。

ビットコインは「Bitcoin Core」というブロックチェーン基盤で動いているが、その他にも「Ethereum」「Hyperledger Fabric」などの基盤がある。日本IBMはその中でも、Hyperledger Fabricを採用したクラウドのフルマネージドサービス「IBM Blockchain Platform」を2017年10月から国内で提供開始。「グローバルで約400件のプロジェクトが進行中で、その約10%が日本で動いている」と、日本IBMの貝塚元彦氏は明かす。

(左から)日本アイ・ビー・エム(IBM)IBMクラウド事業本部 IBMクラウドマイスター エグゼクティブITスペシャリストでブロックチェーン・クラウド・リーダーの紫関昭光氏、同社インダストリー・ソリューションズ事業開発 ブロックチェーン・ソリューションズ部長でインダストリー・コンサルタントの貝塚元彦氏
(左から)日本アイ・ビー・エム(IBM)IBMクラウド事業本部 IBMクラウドマイスター
エグゼクティブITスペシャリストでブロックチェーン・クラウド・リーダーの紫関昭光氏
同社インダストリー・ソリューションズ事業開発 ブロックチェーン・ソリューションズ部長で
インダストリー・コンサルタントの貝塚元彦氏

分散型台帳で信頼性を確保では、なぜブロックチェーンに注目すべきなのか。それは、日本語では「分散型台帳」とも呼ばれるこのテクノロジーが、インターネットなどのオープンなネットワーク上において、相互に信頼関係を築いていないメンバー間の取引であっても、第三者の介在なくその取引に対して高い信頼性を提供できるためだ。

ブロックチェーンはクライアント・サーバー型のような中央集権化されたシステムではなく、ピア・ツー・ピア(P2P)型のネットワークで実現される(図表)。取引の記録は「ブロック」という単位でまとめられ、時系列で「チェーン」のように連なり、そのブロックチェーンのネットワークに参加するすべての人がすべての取引を記載した台帳を所有する。

図表 ピア・ツー・ピア型とクライアント・サーバー型のネットワーク
図表 ピア・ツー・ピア型とクライアント・サーバー型のネットワーク

取引を台帳に記録する際には、ネットワークに参加しているメンバーからその妥当性を検証されるため、不正な取引を台帳に記録するのは難しく、取引の透明性は高い。

また、時系列に並んだブロックには、その前後にあるブロックと結びつける情報が含まれる。途中のブロックを改ざんすると、帳尻合わせのために後続のブロックもすべて書き変えなければならないが、それは莫大なマシンパワーを要する作業であり実現可能性は低い。ブロックチェーンは「改ざんが極めて困難」と言われる所以である。

月刊テレコミュニケーション2018年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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