日立グループが実践する働き方改革――仕事の“数値化”が成功の第一歩

日立グループの働き方改革が軌道に乗り始めた。同社によれば、働き方改革を成功させる秘訣は、IT ツールを活用しながら「労働時間」「人間関係」「会議」などを数値で見える化することにあるという。

「サテライトオフィスの利用者数は1日平均1800人ほど。開設から約1年経ち、社員に浸透してきた。先日、八重洲のサテライトオフィスに行ってみたら、ほぼ満席だった」。

働き方改革に取り組んでいる日立グループは、その一環としてサテライトオフィス活用を推進している。現在は都内7カ所にサテライトオフィスがあるというが、その利用状況を日立製作所の園田英史氏はこう語る。

(左から)日立製作所 システム&サービスビジネス統括本部 営業統括本部 ソリューション開発営業部 コンサルティングG 主任技師の吉田章宏氏、同社 システム&サービスビジネス統括本部 営業統括本部 サービス営業推進本部 ソリューション開発営業部 商品企画開発G 主任技師の園田英史氏

賃借料を50%削減日立グループでは、こうしたサテライトオフィスの活用のほか、トップによるコミットメントの強化、社員の意識改革、職場の風土改革、そしてビデオ会議・Office 365・SalesforceをはじめとするITツール活用などにも積極的に取り組んできた。

ITツールを先行導入した社内のIT部門では、わずか1年で社員満足度が56.8%から61.0%に向上したという(図表1)。「人数が多い場合、社員満足度は1ポイント動くだけでも珍しい。わずか1年で4ポイントもアップするのは、かなり画期的な伸び」と、日立製作所の吉田章宏氏は説明する。

図表1 日立製作所のIT部門における働き方改革の効果
※2014年から2015年の変化

ITツールを活用した働き方改革は、コスト削減にも寄与している。

例えば、ビデオ会議がオフィスの賃借料削減に効力を発揮した。以前はIT部門のメンバー全員の席が秋葉原オフィスにあったが、半数のメンバーを賃借料が安い郊外のオフィスへ振り分けたところ、賃借料が従来の50%になった。2拠点に分かれると、メンバー間のコミュニケーションが希薄になり生産性が低下してしまいそうだが、そこはビデオ会議を活用して乗り越えたそうだ。同様に、ビデオ会議で拠点間の会議を実施することで、国内の旅費を22%削減したという。

ただし、日立の働き方改革の道のりは決して平坦だったわけではない。「私たちは社内で様々な施策を打ち、たくさん失敗してきた」と園田氏は明かす。

同社はこれから、自社の経験を活かし、顧客企業の働き方改革を後押しするソリューションを提供していくが、「お客様は私たちが経験した失敗を繰り返す必要はない。成功したところをソリューションとして提案する」と園田氏は語る。そのソリューションには、コンサルテーションから快適なオフィス空間の構築、各種ITツールの活用まで多岐にわたり、同社がこれまで培ってきたノウハウが詰め込まれているという。

月刊テレコミュニケーション2018年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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